【QUICK Market Eyes 川口 究】JPモルガン証券は20日付日本株ベストアイディアリポートで、日本株の急ピッチな株価上昇による高値警戒感やバリュエーション面での割高感、主要イベントを通過したことによる短期的なカタリスト不足から、目先で一旦株価上昇に歯止めがかかり、「調整する展開となってもおかしくなはい」と指摘。その一方で、現在のマクロ経済環境に照らすと、業績予想リビジョンはプラス圏で推移する可能性が高く、業績予想が切り上がる中、来期以降の業績回復を先どりする動きが強まるのであれば、「バリュエーションのこれ以上の拡大を想定せずとも、TOPIX=2000ポイント(日経平均=3万円)は先々達成可能な水準と見られる」とも指摘した。
欧米株と比較すると出遅れ感がみられる日本のバリュー銘柄については、今後、(1)日本と欧米のバリュー株のバリュエーション格差は拡大しており、株式市場の上昇基調が続くのであれば、ローテーションの順番が回ってくる公算が大きい、(2)業績予想リビジョンは当面プラス圏で推移する可能性が高く、業績・ROE(自己資本利益率)の改善期待はより強まる可能性が高い、(3)世界的に長期金利は上昇基調を辿ると同証券では予想しており、その場合金融を中心としたバリュー業種・銘柄のバリュエーション拡大が展望される、といった点から、「現下で出遅れている日本のバリュー銘柄がキャッチアップの動きを強める可能性が高いと考えられる」と指摘した。
日本企業の2020年度第3四半期決算発表が本格化するが、一般に第3四半期決算前後では市場の目線が来期業績へと切り替わり、逆張り物色の傾向が強まりやすい。特に、翌期に大幅増益が想定される年には、第3四半期決算ごろから本決算にかけて日本株はラリーする傾向があり、こうした年の2~5月には、「バリュー、ベータ、リターン・リバーサルが効く傾向がみられる」という。