【QUICK Money World 吉田 晃宗】来週(2月15日~)の上場REIT(不動産投資信託)市場を展望するために、QUICKが今週配信したREIT関連ニュースを振り返った。市場ではREIT相場の「出遅れ」を指摘する声が出ている。1月の投資主体別の売買動向を見ると、外国人の売りを銀行が吸収する格好となったようだ。来週はフロンティア(8964)、CREロジ(3487)、日本プライム(8955)、Jエクセレント(8987)、マリモリート(3470)、日本リート(3296)が決算を発表する予定だ。
今週の主要REIT指標の騰落率は以下となる。REIT相場は大幅上昇。全般的に堅調な展開だったが、特に「オフィス」と「住宅」が相場をけん引した。
銘柄名 | 騰落率(%) |
東証REIT指数 | +4.02 |
東証REITオフィス | +4.79 |
東証REIT住宅 | +4.21 |
東証REIT商業 | +3.23 |
東証REIT物流フォーカス | +3.24 |
■J-REIT、相場上昇に買い安心感、利益確定売りも調整局面入りに至らず=野村証(2/9)
東証REIT指数は年初来騰落率が5.47%高と堅調に推移している。8日終値は1881.64と節目の1900が迫ってきた。
野村証券は8日付のJ-REIT(日本の上場不動産投資信託)リポートで「最近のJ-REIT相場の上昇に何か特別なきっかけは無く、J-REIT各社の業績への安心感の広がりもあり改めてJ-REIT相場の出遅れの歪さが浮き彫りになったことが大きい」と指摘。また、「長い相場停滞を受けて投資を躊躇してしまっていた状況から一転、最近は相場が上がり始めたことが買い安心感を誘い、元々投資意欲を持つも躊躇していた市場参加者の背中をようやく押す構図になっている」との見方も示された。
加えて、最近のJ-REIT相場は上昇ペースがやや速く、年度末に向けて一旦は利益確定売りを行う可能性を指摘しつつも、「下落局面が出現することがあっても、J-REIT相場の持続的な調整局面入りを警戒する必要は無い」との展望も示された。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
■預金残高の増加を背景に銀行がJ-REIT買いか=モルガン・スタンレー(2/12)
モルガン・スタンレーMUFG証券は10日付のリポートで、この日に東証がJ-REITの1月の投資部門別売買状況を公表したことを踏まえ、「1月は外国人投資家と投資信託が売り越すなか、預金残高の増加を背景に銀行がJ-REITを買っていたものとみられる」と指摘した。
リポートでは外国人投資家が統計上、302億円の売り越しであったとしながら、「外国人投資家に含まれる国内の通貨選択型のJ-REIT投信については、1月に10億円内外の資金流出があったとみられることを踏まえれば、実態として外国人投資家は290億円規模の売り越しであった可能性がある」と指摘。その一方で、銀行に関しては4カ月連続の買い越しだったとしながら、「1月は日銀がJ-REITを27億円買っていたほか、銀行の需要を反映するJ-REITの上場投資信託(ETF)の受益権額は70億円程度増えていたことから、実態としては銀行は230億円規模の買い越しであった可能性があると弊社ではみている」と指摘。銀行の預金残高が大きく伸びるなか、「銀行がJ-REITに資金を振り向けている可能性がある」とみていた。(QUICK Market Eyes 片平正二)