【NQNニューヨーク=戸部実華、横内理恵】米金融大手のモルガン・スタンレーが、米投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引に関連して保有していた株式のうち50億ドル相当を3月25日に売却していたようだ。アルケゴスが追い証に対応できず、翌26日に投資銀行の投げ売りで関連株が暴落した。米CNBCが6日に伝えた。
モルガンはヘッジファンド数社に米メディア株や中国のハイテク株を割安な価格で売却したという。ヘッジファンドには取引先の名前を伏せた上で「売却株は追加証拠金の一部」と説明していたようだ。
一方でゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は6日、投資会社アルケゴス・キャピタル・マネジメントとの取引で多大な損失を回避したことについて「我々のリスク管理システムが機能した」との見解を示した。CNBCのインタビューで語った。
「早い段階でリスクを察知し、顧客との契約に沿った形でリスク削減に動いた」という。多大なレバレッジを取った集中投資の典型例で、「初めて起こったことではないし、最後でもないだろう」と述べた。デリバティブ(金融派生商品)を活用した複雑な取引に対する透明性が求められていることについて「議論に値する」とも述べた。
アルケゴス関連では野村ホールディングスが約20億ドルの損失を被ったとみられている。クレディ・スイス・グループも6日に44億スイスフランの損失が発生すると発表し、投資銀行部門トップとリスク管理の責任者の更迭を明らかにした。