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「中国ADR」が話題 政治リスクによる上場廃止・中止に要注意、ソフトバンク投資先「滴滴」は?【点検・資産配分】

【QUICK Money World 辰巳 華世】中国企業の米国預託証券(ADR)の動向に注目が集まっています。中国ADRには、成長が期待できるIT(情報技術)関連の企業が多く存在しており、成長株として日本の投資家からも人気があります。最近では、ソフトバンクグループ(SBG、9984)傘下のファンドが投資する中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)がADRで米国上場し話題を集めました。しかし、ここに来て中国ADRの先行き不透明感が漂っています。今回は、滴滴を巡る一連の動きを振り返りながら、中国ADRのを先行き不安について考えてみたいと思います。

まず、話の前提となる「ADR」について簡単に説明します。ADRとは、American Depositary Receiptの略語で、日本語では米国預託証券と呼ばれています。ADRは米国市場で売買できる外国企業の証券のことで米国株式のように売買することができます。

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ソフトバンクGの投資先「滴滴出行(ディディ)」のNY上場

SBG傘下の「ビジョン・ファンド」が2割を保有する筆頭株主となる中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)が6月30日、ニューヨーク証券取引所にADRを上場させました。初値は16.65ドルで公開価格(14ドル)を19%上回りました。終値は公開価格比1%高の14.14ドルでした。

滴滴の調達額は44億ドルと、中国企業による米IPO時の調達額としては2014年のアリババ集団に次ぐ規模であったことや、米中対立や中国のネット規制などがある中での中国ハイテク企業の大型上場だったこともあり注目を集めました。

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中国ネット規制当局による滴滴への審査開始で流れが変わる

上場直後の7月2日に流れが変わります。中国のネット規制当局が滴滴に対し、国家安全上の理由で審査を始めたと発表しました。この発表を受けて、滴滴のADRは一時、前日終値比11%急落しました。

4日には中国ネット規制当局が滴滴のアプリで個人情報の収集と利用に関する法律や規則の重大な違反を確認したと発表し、スマートフォンのアプリのダウンロードの停止を命じました。滴滴は新規顧客を獲得することが難しくなり、今後の事業に悪影響が出ることが確定しました。事業への悪影響が懸念され傘下ファンドを通じて滴滴に投資するSBG株も5日、前週末比475円(6%)安の7337円まで下落し、年初来安値を更新しました。

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突然の規制強化、ウイグル問題…チャイナリスクが一段と意識される

中国政府はさらに動きます。6日には、中国政府がすでに上場している企業も含めて、中国企業の海外上場規制を強化すると発表。7日には中国の規制当局が、過去のM&A(合併・買収)の際に当局への申請がなかったことは独占禁止法違反にあたるとして、ネット大手のアリババ集団や滴滴などに罰金を科す決定を出しました。

滴滴を巡る一連の流れの中、東京市場では米中対立に絡むチャイナリスクが一段と意識されています。7日には、中国企業に多く出資しているSBGの投資収益の悪化や戦略の見直しなどへの懸念が高まり、SBG株が売られ年初来安値を更新しました。また、中国・新疆ウイグル自治区を巡る問題を抱えるファーストリテイリング(9983)も下落するなど、市場全体に中国問題が重くのしかかり、上値の重い展開になっています。SBGもファーストリテイリングも日経平均株価への寄与度が高い銘柄であるため、警戒を怠ることはできません。

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中国ADRにつきまとう不透明感…上場廃止など独自のリスク

米中の対立が強まる中、中国ADRの先行きには一段と不透明感が漂っています。米議会は中国企業に対する監視を強めています。米上下院は、米国に上場する企業に外国政府の支配下にないことを証明するよう求めるほか、米規制当局による会計監査状況の検査を義務付けています。検査を3年間、拒否したら上場廃止となる法案を2020年に可決しています。

また、米投資家による「中国軍関連」企業への投資を禁じる米大統領令が今年1月11日に発効したことで、ニューヨーク証券取引所(NYSE)では同日から中国移動(チャイナモバイル)、中国電信(チャイナテレコム)、中国聯通(チャイナユニコム)香港のADR3銘柄の売買を停止しました。

一方、中国当局は対立する米国などへのデータ流出を強く警戒しています。中国の習近平(シー・ジンピン)指導部はネット企業への統制を強めています。これまで、中国を代表するネット企業のアリババ集団傘下の金融会社アント・グループの大型上場を延期に追い込んだこともあります。6日には、中国政府がすでに上場している企業も含めて中国企業の海外上場規制を強化すると発表しており、中国ADRにも影響がありそうです。

実際、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が12日、ソーシャルメディアのティックトック(TikTok)の親会社である中国・北京に拠点を置くバイトダンスが、海外市場での新規株式公開(IPO)の準備を停止したと報じています。

米中が互いに規制を強化し米中対立がエスカレートする中、今後の中国ADRの動向は気になるところです。中国ADRへの投資の検討や、中国ADRを既に保有している投資家は、ますます米中対立を意識し、中国ADRの動向に注意を払い慎重になった方が良い時期なのかもしれません。もし投資する場合も、上場廃止時の取り扱いなどを、事前に証券会社に確認しておくべきでしょう。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


投資経験 10年以上
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中国企業に関する一連の政治リスクのまとめ。中国関連の記事が最近ちらほらと出ており、横目では見ていたが、こうして整理してもらえるとわかりやすい。取り上げられているリスクについては、寄与度の高いユニクロとソフトバンクが直撃ということで、日経平均の先行きはちょっと怪しいかもしれない。

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2021/7/19 15:35 最終更新   2021/7/19 18:17 (最終更新)

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