QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/05/25)
・半導体・部材不足の影響が想定以上に広がる
23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高2兆5400億円→2兆7500億円(前期比12%増)、営業利益2250億円→2150億円(同6%増)へ修正する。従来この期は、主要製品の出荷が拡大するものの、22/3期に市況が急騰したANの採算が悪化するため営業利益はほぼ横ばいになるとみていた。見方に大きな変更はないが、半導体・部材不足の影響が自動車向け製品以外にも広がっているため、利益面で予想を減額。前期実績が予想を下回ったため、営業利益は小幅増となるが、従来予想には届かない見通しとなった。続く24/3期以降は主要製品の販売数量増と合理化などの効果で業績は着実な伸びをみせよう。
・想定には届かなかったが、前期は2桁営業増益に
22/3期の連結営業利益は前期比18%増の2026億円で着地(収益認識に関する会計基準適用の影響は考慮せず)。4Qの原料高など影響で当研究所が事前に想定していた2220億円には届かなかったが、ANの市況上昇や全般的な需要回復で2桁の営業増益を達成した。
・リスクファクター ~自動車減産長期化やAN市況など
・アナリストの投資判断 ~割高感はなく、株価は底入れして徐々に上昇へ
株価は21年3月につけた1380円を直近の高値として下落に転じ、足元にかけて軟調に推移。直近では今期の当研究所予想連結PERで約9倍と、総合化学メーカーの平均並みの水準にある。原料・製品市況の変動に業績が大きく左右される化学メーカーの中で、同社の業績は比較的安定しており、不透明感の強い環境で選好される傾向がある。今期の業績はANの採算悪化などで小幅な伸びにとどまる公算が大きく、大幅なPER上昇は難しいが、同社の過去の平均をやや下回る10倍程度の評価は可能であり、株価は底入れして徐々に上昇に向かうと考える。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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