【NQNロンドン=菊池亜矢】食品サービスの英コンパス・グループの株価がコロナ前の水準に近づいている。16日には過去1年(52週)の高値となる1841.98ペンスを付けた。その後は利益確定売りに押されたが、それでも23日終値は1730.50ペンスとコロナで急落した20年3月の安値(865.80ペンス)の2倍だ。インフレに対応したビジネスモデルが成長期待につながっている。
※コンパス・グループの株価
病院や高齢者介護施設、レジャー・スポーツ施設への給食など食品サービスのほか、ビル管理などサポートサービスを手掛ける。売上高の8割を食品サービスが占める。地域別の売上高は北米が6割、欧州が3割弱を占める。
2021年10月~22年3月期決算は売上高が前年同期比36%増の114億9900万ポンド、純利益は4.8倍の4億7700万ポンドだった。新規契約数の伸びが収益を押し上げた。顧客定着率は過去最高水準の95.8%とコロナ前の2019年(94.8%)から高まった。22年9月期通期の既存事業の売上高見通しは従来の前期比20~25%増から30%増に引き上げた。
今期は上半期だけで売上高が19年9月期通期の約6割に達し、通期では19年9月期を上回る勢いだ。上半期の売上高営業利益率は5.8%と前年同期の3.4%から大幅に改善した。
モルガン・スタンレーは「アウトソーシング(外部委託)が広がる流れの中でシェアを維持し、コストをうまく管理している」と評価した。値上げを進めながらも新規契約の獲得には勢いがあると指摘、「ディフェンシブでインフレに強いビジネスモデルは、我々の調査対象企業の中でも望ましい位置にある」とみる。