【NQNロンドン 菊池亜矢】ドイツのファッション通販、ザランド株の戻りが鈍い。5月12日に29.91ユーロまで下げ、2020年3月以来の安値を付けた。6月7日終値は34.83ユーロと過去1年(52週)の高値を7割下回る。インフレ懸念から世界的に金利が上昇する中、PER(株価収益率)の高さが嫌気されている。
5月に発表した2022年1~3月期決算では売上高は前年同期比1%減の22億500万ユーロ、最終損益は6130万ユーロの赤字(前年同期は3450万ユーロの黒字)だった。インフレが消費者の購買意欲を抑えたうえ、顧客獲得のための販売促進費がかさんだ。
経済正常化に伴い、オンライン消費には一巡感が出ており、流通総額は前年同期比1%増にとどまった。21年1~3月期が56%増だったのに比べ勢いは急速に弱まった。会社は12月期通期の流通総額の伸び率を「16~23%の下限」、増収率を「12~19%の下限」と見込む。だが、QUICK・ファクトセットが集計した市場予想はそれぞれ15%、11%と会社予想を下回る。
予想PERは43倍と高く、バークレイズは「ほかの多くのネット通販株より割高だ」と指摘する。「高インフレや業界全体の値下げが予想される中、今後半年で株価を上昇させるきっかけはほとんどない」と悲観的に分析する。