【日経QUICKニュース(NQN)】主要な半導体関連銘柄で構成する米フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は下落基調を強めている。12日も1%近く下げ、年初からの下落率は44%に達した。長くチャート上のサポートラインとして意識されていたのが「200週移動平均」だ。9月下旬から同水準でもみ合いとなり、今週に入って明確に下放れしてきた。米S&P500種株価指数が同移動平均での攻防が続いているのとは対照的で、半導体業界を取り巻く環境の厳しさを感じさせる。
週足ベースで割り込むのは2012年11月以来、約10年ぶりだった。スマートフォンの急速な普及や演算処理へのGPU(画像処理半導体)の活用など、時代の変化を背景にSOX指数は上昇を続けてきた。世界的な株安が生じた20年3月の「コロナショック」でも200週移動平均で下げ止まった経緯がある。その後は新型コロナウイルス禍での巣ごもり需要を背景に指数は切り返した。
足元では新型コロナ禍のスマホやパソコン(PC)向け特需が剥落し、半導体の先端技術を巡る米中対立も過熱化している。市場では「PC向けの在庫調整は続きそうで、(米アップルの)iPhone14の売れ行きも良くない。株価の調整局面を抜け出すには時間を要する」(楽天証券経済研究所の今中能夫チーフアナリスト)と、底入れはまだ先との声が聞かれた。