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日東電工(6988) 減損の影響などを円安効果で吸収し、業績予想を上方修正

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/10/28)

・円安効果で会社計画を上回る増益を見込む
 23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益1兆円→1兆100億円(前期比18%増)、営業利益1780億円→1850億円(同40%増)へ引き上げる。新型コロナワクチン向け核酸免疫補強剤が想定以上に落ち込むほか、自動車向けの一部事業の譲渡とそれに伴う減損損失の発生といったマイナス要因があるが、ノートPC向け光学フィルムや高精度基板などを中心にオプトロニクス部門は大きく拡大。円安の効果も大きく、連結全体で業績予想を引き上げた。会社側は下期の為替の前提を保守的にみており、会社計画を上回る増益になると考える。続く24/3期以降も、自動車向け製品や高付加価値のプリント回路、核酸医薬関連製品などの出荷増で業績は拡大基調を辿ろう。

・販売数量減少や費用増を円安の効果でカバー
 23/3期上期の連結営業利益は前年同期比27%増の923億円。販売数量が伸び悩んだほか、原材料高などの影響もうけたが、円安の効果で吸収して増益を達成した。

・リスクファクター ~外国為替市況の反転など

・アナリストの投資判断 ~足元の水準には割安感があり、株価は徐々に上昇へ
 スマートフォンをはじめとした最終製品の需要減速などが嫌気され、22年に入って同社の株価は一進一退の動きを続けてきたが、9月後半に大きく下落した後は冴えない展開となっている。直近では当研究所の来期予想連結PERで約8倍と、電子材料メーカーの平均である10倍を下回り、割安感がある。マクロ経済の悪化に伴うオプトロニクス部門の主要製品の需要低迷や、高成長を見込んでいたヒューマンライフ部門の減速など悪材料はあるが、円安が他の電子材料メーカー以上に業績の追い風となるため、同平均をやや下回る9倍程度の評価は可能であり、株価は徐々に底入れして上昇に向かうと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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