3月期決算企業の4~9月期決算発表が続いている。一部には経営陣が記者会見に応じる企業もある。日経QUICKニュースが配信した記者会見の経営コメントを以下にまとめた。
◇SUBARUの中村社長、米国の受注残「高止まり」
SUBARU(7270)の中村知美社長は2日に開いた決算会見で、主要市場の米国の受注残(バックオーダー)は「4万7000~8000台レベルで高止まりしている」と説明した。前回8月に開いた4~6月期の決算会見で同社は米国の受注残が5万台と示していた。中村社長は「供給は増えているが、なかなか受注残が減らないのが実態」と語った。
中村社長は10月の米国販売は前年実績比で31.9%増と説明し、「肌感覚として消費行動はまだ強い」と語った。一方、「半導体を含めてサプライチェーン(供給網)の不透明感は続いており、(来期にかけても)どこまで作れるかが勝負だ」と語った。来期についてもチャレンジ目標とする100万台の生産を検討していると説明した。
◇KDDI社長、障害対策投資「信頼あるネットワークつくる」
KDDI(9433)の高橋誠社長は2日に開いた2022年4~9月期の決算会見で、通信障害対策に今後500億円を投資する方針を示したことに関し、「信頼のおけるネットワークをしっかりつくっていきたい」と話した。高速通信規格「5G」対応を優先していたため「(通信障害は体制を)見直すきっかけになった」とした。
4~9月期の決算では、通信障害費用などが営業利益を148億円押し下げた。高橋社長は「費用がなければ3億円程度の増益だった」と説明した。
◇野村の北村CFO、仕組み債「営業部門の純営業収益の3%強」
野村ホールディングス(8604)の北村巧財務統括責任者(CFO)は2日、決算会見で営業部門の純営業収益に占める仕組み債の比率について「4~9月期で3%強だった」と語った。内訳は公募債が0.2%程度、私募債が3%程度という。野村は10月に公募型の販売を停止している。北村CFOは私募債については「お客さまのニーズに合う形でテーラー型で作っている」と説明した。
◇野村の北村CFO「ボラティリティーの回復局面で収益機会ある」
野村ホールディングス(8604)の北村巧財務統括責任者(CFO)は2日、同日開いた決算会見で「11月以降の米国の中間選挙や米連邦公開市場委員会(FOMC)などイベントが目白押しで、ボラティリティー(変動率)の回復局面で収益機会が出てくるだろう」と語った。ただ、足元では「トレーディングビジネスは全般的に低調」だとも語った。
今後については「マーケットの不透明感はしばらく続く」との見解を示した。「リスクコントロールに細心の注意を払いつつ、流動性の供給やお客さまへのソリューション提供をしていく」と語った。
◇ミネベアの湯谷経理部長、スマホ需要の減少「徐々に落ち着く」
ミネベアミツミ(6479)の湯谷淳経理部長は2日、2022年4~9月期の記者会見で、スマートフォンやパソコン向けの半導体需要の減少が懸念されていることについて「顧客ごとの需要に左右される面も大きいが、スマホなどの需要減少は落ち着き、徐々に回復に向かうことを想定している」と述べた。ミネベアは2日、2023年3月期(今期)の連結営業利益(国際会計基準)が前期比25%増の1150億円になりそうだと発表した。同11%増の1020億円としていた従来予想から上方修正した。
湯谷氏は「このところ新型コロナウイルスが拡大している。4~6月期に生じたような中国での都市封鎖(ロックダウン)が生じることは懸念材料の一つだ」とも語った。
◇三菱自の矢田部副社長、値上げ「販売への大きな影響ない」
三菱自動車(7211)の矢田部陽一郎副社長は2日、2022年4~9月期の決算説明会で「デリカD:5」と「ミラージュ」を値上げした影響について「販売に対する大きな影響はなく、顧客からも特段大きな反応はない」と語った。再値上げの可能性については「原材料価格の変化や年式の変更に伴う商品改良をしているため、当然検討している」と述べた。
景気悪化懸念のある米国市場について、矢田部副社長は「米国経済の動向を注意深くみていく状況ではあるが、自動車に関しては半導体不足を主因とした供給問題が続いている」と説明した。