【NQNニューヨーク=川内資子】23日の米株式市場で値動きが目立った銘柄は以下の通り。△は上昇、▲は下落。
◎英サッカークラブのマンチェスター・ユナイテッド(MANU) △25.8%
クラブの完全な売却を含めた戦略的な選択肢を検討していると22日に発表した。マンUと同じくイングランド・プレミアリーグの人気チーム、チェルシーは今年、米大リーグのドジャースの共同オーナーが高値で買収した。マンUも高値で売却されるとの期待から買いが膨らんだ。
◎費用管理のクーパ・ソフトウエア(COUP) △28.9%
「米投資会社ビスタ・エクイティ・パートナーズが買収を検討している」とブルームバーグ通信が23日に報じた。ビスタはIT(情報技術)企業への投資で知られる。報道によると、買収は差し迫っておらずビスタが断念する可能性も残っているという。
◎中古車ネット販売のカーバナ(CVNA) △19.4%
22日夕の米証券取引委員会(SEC)での届出で、ギル・ダニエル最高製品責任者(CPO)が21日にカーバナ株を13万3000株取得していたことが明らかになった。金額では約100万ドル。業績懸念などから11月に入り株価は5割近く下げていたが、経営幹部が株価持ち直しへの自信を示したと受け止められた。
◎暗号資産(仮想通貨)のマイニングを手掛けるライオット・ブロックチェーン(RIOT) △10.8%
HCウェインライトが投資判断を「買い」、目標株価を前日終値の2.5倍となる10ドルで調査を始めた。ビットコインのマイナーとして「最も大きく、垂直統合された企業の一つ」と評価。仮想通貨業界の再編やビットコイン価格の長期低迷が予想されるなか「財務状態も非常に良いライオットは業界の冬をうまく乗り切り、力強さを増す」と分析した。
◎クルーズ船のカーニバル(CCL) △2.7%
トゥルイスト証券がここ数カ月で「クルーズ業界は3つの前向きな節目を達成した」とし、需要回復が勢いづいていると指摘した。2022年10~12月期のクルーズ料金は新型コロナウイルスの感染拡大以来、初めて19年比で上昇し、予約ペースは今年初めて価格が下落することなく加速した。最近はクルーズ船上でコロナの感染が再拡大したが、大きく報道されることがなかったのも前向きに受け止めたようだ。
◎電気自動車のテスラ(TSLA) △7.8%
シティグループが23日、投資判断を「売り」から「中立」に、目標株価は141.33ドルから176ドルに引き上げた。株価は10月以降に大きく下げており、アナリストは「リスクと投資収益のバランスは均衡した」と指摘した。経済環境の悪化などの懸念はくすぶるが、景気後退局面では同業他社と比べてフリーキャッシュフロー(純現金収支)の創出力が高いテスラの投資妙味が増すという。
◎農機のディア(DE) △5.0%
23日発表の2022年8~10月期決算が市場予想を上回る増収増益となった。生産コストがかさむなか値上げにより、採算が改善した。同時に示した23年10月期通期の1株利益は下限でも市場予想を上回った。経営幹部は「農場の経済状態は良好で、23年10月期も好調になる」とコメントした。
◎スイス金融のクレディ・スイス(CS) ▲6.4%
22年10~12月期決算で最大15億スイスフランの税引き前損失を計上する見通しだと23日に発表した。市場環境の悪化で投資銀行業務など幅広い事業が振るわず、経営不安が高まった10月上旬には顧客による預金や資産の引き揚げが目立った。事業再編に向けたコスト構造の改革に向けたリストラ費用も計上する。
◎設計ソフトのオートデスク(ADSK) ▲5.7%
22日夕に発表した2022年8~10月期決算で出荷額が市場予想ほど増えず、22年11月~23年1月期の売上高見通しは市場予想を大きく下回った。複数年契約から年間契約に移行する顧客の増加が響く。「年間契約への移行は中長期的には不透明感の減少につながるが、目先は収益懸念が株価の重荷になる」(RBCキャピタル・マーケッツ)と、23日は目標株価を引き下げるアナリストが相次いだ。