【NQNニューヨーク=戸部実華、古江敦子、川上純平】
■テスラ(TSLA)が一時3%高 「モデル3」改良型を開発との報道受け
28日の米株式市場で電気自動車のテスラが反発し、前週末比0.03%高の182.92ドルで通常取引を終えた。主力車種「モデル3」の改良型の開発を進めていると28日に伝わった。カナコード・ジェニュイティが高度な運転支援機能の導入に伴う収益拡大の余地があることを指摘し、投資判断を「買い」、目標株価を304ドルで据え置いたことも好感された。一時は3.1%高まで買われたが、米株相場が下げ幅を拡大するにつれて伸び悩んだ。
テスラは生産コスト削減に加え、モデル3の注目度を高めることを狙いとして改良型を開発しているとロイター通信が報じた。機能を重視しつつ、内装部品を減らして複雑な構造を改善するもよう。外観や駆動装置の性能も変わる可能性がある。中国・上海と米カリフォルニア州の工場で生産し、上海工場では2023年7~9月期に生産を始める見通しという。
カナコードの担当アナリストは27日付リポートで、米国での高度な運転支援機能「FSD(フルセルフドライビング)ベータ版」の導入が売上高を押し上げ、売上高総利益率の改善にも「追い風になる」と指摘した。テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は24日、「FSDベータ版が北米で利用可能になった」とツイッターに投稿。カナコードは22年10~12月期から収益の拡大につながる余地があるとみる。
■ウィン・リゾーツなどカジノ関連が高い マカオ政府が運営免許交付
28日の米株式市場でカジノ関連株が買われ、ウィン・リゾーツ(WYNN)は前週末比4.4%高の78.20ドルで通常取引を終えた。メルコリゾーツ&エンターテインメント(MLCO)は9.9%高、ラスベガス・サンズ(LVS)は1.1%高となった。マカオ政府が26日、来年からの新たなカジノ運営免許を交付すると発表した。中国で新型コロナウイルスの感染が広がるなか、マカオでの営業を巡る不透明感が後退したことから買いが入った。
新しい免許は2023年から10年間有効となる。マカオ政府は経済の多角化を目指し、カジノ運営会社に対してカジノ以外の分野への投資も求めたようだ。免許交付について、メルコは「アジア最高の観光地としてのマカオの発展に尽力する」とコメントした。
■アップルが2%安 中国で600万台減産の可能性と報道
28日の米株式市場でスマートフォンのアップル(AAPL)が続落し、一時は前週末比2.3%安の144.77ドルをつけた。ブルームバーグ通信が28日、アップルの「iPhone」を生産する中国の工場で混乱が長引けば、上位機種「Pro」シリーズの生産が600万台減る可能性があると報じた。今秋から続いていた主力製品の販売加速による収益押し上げの期待が後退し、売りが出ている。
アップルのスマホ生産を請け負う台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の鄭州工場(中国河南省)では、新製品「iPhone14」の中でも最も需要が多いとされる高価格帯の「Pro」シリーズを全量生産している。足元では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う行動規制で稼働が滞るうえ、前週には奨励金の支払い延期などの待遇を巡って従業員が抗議活動を起こした。流通の停滞による食料の不足で、10月から従業員の流出も続いているという。
ウェドブッシュ証券は28日付のリポートで、鴻海の鄭州工場の混乱が向こう数週間続けば2022年10~12月期の生産台数が例年より1割減る可能性があると試算する。アナリストのダニエル・アイブス氏はiPhoneの強い需要見通しを維持したが「鴻海の混乱は中国のゼロコロナ政策がもたらした結果で、アップルの供給網に大きな打撃を与えた」と指摘した。一方、ループ・ベンチャーズのジーン・マンスター氏は「アップル株を今売るべきではない」と主張した。アップルが生産拠点を中国から他のアジア地域に徐々に移しており、供給網の混乱は将来的に減るとみる。
■ショッピファイが続伸 ブラックフライデーの売上高が17%増
28日の米株式市場でネット通販支援のショッピファイ(SHOP)が4日続伸し、一時は前週末比9.1%高の40.15ドルを付けた。25日金曜日の一斉セール「ブラックフライデー」でのネット通販売上高が前年に比べ17%増の33億6000万ドルになったと26日に発表した。年末商戦で好調なスタートを切ったとの見方から買いが膨らんだ。
買い一巡後は伸び悩んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり消費で利用が大きく拡大した反動で今後の成長が鈍化するとの見方が株価の重荷となっている。株価は25日時点で昨年末比7割安と大幅に水準を切り下げており、投資家の先行き不安は根強い。7月にはネット通販市場の拡大が想定を下回っているとして、人員削減の方針を示していた。