【日経QUICKニュース(NQN)】エーザイ(4523)の株価が大幅に続伸している。一時、前日比718円(7.7%)高い1万50円まで上昇し、2021年7月16日以来1年4カ月ぶりに節目の1万円を超えた。11月30日、アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について臨床試験(治験)の最終段階の結果をアルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)で発表。レカネマブの投与により早期アルツハイマー病患者の症状悪化を27%抑制できることが示された。改めて同治療薬が業績拡大につながるとの期待が高まり、買いが入っている。
エーザイ株は直近、レカネマブの被験者の死亡事例の発覚を受け、株価水準を切り下げる場面があった。一方、エーザイは11月30日の説明会で、継続して判断するとしながらも現段階でレカネマブと直接の関係はないとの見解を示した。
野村証券の甲谷宗也リサーチアナリストは30日付のリポートで、「有効性や安全性なども説得力の高いデータが示された」と指摘し、レカネマブの開発成功確率を従来の70%から80%に引き上げた。目標株価は1万2000円から1万3500円に修正した。
ただ、節目の水準を超えた後は個人投資家を中心とした利益確定売りが増えた。株価は再び9000円台後半で推移している。楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリストは10時30分時点の店内売買動向でエーザイ株は上位に入っており、「個人の信用取引での取り組みが増えている」と説明した。これまでエーザイ株に信用買いを入れた個人が高値では利益確定をする動きがあるとし、短期間で売買を繰り返す向きが強まっているとも指摘した。