【NQNニューヨーク=横内理恵、戸部実華、三輪恭久】
■スプランクが大幅上昇、利益率改善を好感
1日の米株式市場でデータ解析ソフトのスプランク(SPLK)が大幅上昇し、前日比17.8%高の91.49ドルで終えた。前日夕に発表した2022年8~10月期決算が市場予想を上回り、23年1月期通期の業績見通しも引き上げた。コスト抑制による利益率の改善も好感された。
8~10月期の売上高は前年同期比40%増の9億2976万ドルと、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(8億4750万ドル)を上回った。クラウドサービスは54%増で市場予想に届かなかったが、オンプレミスのライセンス収入が好調だった。成長の指標とされるARR(年間経常収益)は23%増と小幅ながら市場予想以上に伸びた。
最終損益は3262万ドルの赤字と、赤字幅は前年同期(3億4332万ドル)から大幅に縮小した。研究開発費などのコスト削減を進めた。特別項目を除く1株利益は0.83ドルと市場予想(0.25ドル)を上回った。
23年1月期の売上高は34億5500万~34億8500万ドルを見込み、従来予想(33億5000万ドル~34億ドル)を上方修正した。市場予想(33億9000万ドル)も上回る。特別項目を除く売上高営業利益率とフリーキャッシュフロー(純現金収支)の見通しも引き上げた。
■コストコが反落、11月の既存店売上高が減速 ネット販売は減少
1日の米株式市場で会員制卸売り大手のコストコ・ホールセール(COST)が反落し、前日比6.6%安の503.86ドルで通常取引を終えた。11月30日に発表した11月の既存店売上高(ガソリンや為替の影響を除く)は5.3%増となり、10月の6.7%増から伸び率が鈍化した。ネット販売は8.9%減と、10月の1.6%増から減少に転じており、嫌気した売りが膨らんだ。
シティグループのアナリストは「総じて底堅かったが、食料以外の部分では弱さが見られた」とみる。食品や雑貨は2ケタの伸びとなったが、家電製品や宝飾品、住居関連の不振で食料以外は1ケタ台前半の減少となった。ネット販売は家電など大型商材の落ち込みが響いた。国・地域別にみても世界的に伸び率が鈍化する傾向にある。
■セールスフォース急落、業績の伸び鈍化や共同CEO退任を嫌気
1日の米株式市場で顧客情報管理のセールスフォース(CRM)が急落し、一時は前日比11.3%安の142.08ドルを付けた。前日夕に2022年8~10月期決算と併せて発表した次期の業績予想が市場予想を下回った。併せて共同最高経営責任者(CEO)のブレット・テイラー氏の退任を発表した。業績の伸び鈍化と先行きの経営を巡る不透明感から売りが膨らんだ。
8~10月期の売上高は前年同期比14%増の78億3700万ドルと、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(78億3000万ドル)を上回った。主力のサブスクリプション(継続課金型)が13%増えた。ただ、景気悪化が響き、22年11月~23年1月期の会社全体の増収率は8~10%に減速する見込み。23年1月期通期の売上高見通しも309億~310億ドルと従来予想を据え置き、中央値は市場予想(310億ドル)に届かない。
米スラック・テクノロジーズの買収を主導し、21年11月に共同CEO就いたブレット・テイラー氏が23年1月末に退任すると発表した。発表資料で同氏は「起業家としてのルーツに戻ることを決めた」と説明。同社の共同CEO体制の解消は2度目で、創業者マーク・ベニオフ氏が再び単独でCEOを続ける。市場では「経営を支える大黒柱の1人とみられたテイラー氏の退任は衝撃的だ」(ウェドブッシュ証券)との見方があった。
■オクタ急伸、来期は減速予想も悪材料出尽くし
1日午前の米株式市場でID管理システムのオクタ(OKTA)が急伸し、一時は前日比26.0%高の67.20ドルを付けた。前日夕に発表した2022年8~10月期決算が市場予想を上回り、23年1月期通期の業績予想を引き上げた。24年1月期は大幅に成長が鈍化する見通しを示したが、株価は年初来で前日終値までに8割近く下げており、悪材料出尽くし感や割安感からの買いが膨らんだ。
8~10月期の売上高は前年同期比37%増の4億8104万ドルと、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(4億6540万ドル)を上回った。ID管理サービスへの需要が強く、主力のサブスクリプション(継続課金型)収入が市場予想以上だった。最終損益は2億889万ドルと、赤字幅は前年同期(2億2131万ドル)から縮小した。特別項目を除く1株利益はゼロで、市場予想(0.24ドルの赤字)を上回った。
23年1月期の売上高は18億3600万~18億3800万ドルを見込み、従来予想(18億1200万~18億2000万ドル)を引き上げた。下限でも市場予想(18億2000万ドル)を上回る。特別項目を除く1株損益の赤字予想は縮小した。一方、マクロ環境の不透明感などを挙げ、24年1月期の売上高成長率が今期予想比16~17%に減速するとの見通しを示した。市場は20%台の成長を見込んでいた。
決算を受けて多くのアナリストが目標株価を引き上げた。キーバンク・キャピタル・マーケッツは利益率改善への会社の取り組みなどを評価し、目標株価を66ドルから72ドルに上げた。グッゲンハイム証券は65ドルから70ドルにした。