【NQNロンドン=菊池亜矢】消費者信用照会サービス大手のエクスペリアン株が持ち直している。2日の終値は2967.00ペンスと3日続伸し、6月に付けた年初来安値から3割上昇した。信用情報の利用拡大の余地が大きいとの見方から、収益の成長を見込んだ買いが入っている。
同社は信用情報やマーケティングに関するデータの収集・分析をてがけ、売上高の7割が企業向け、3割が個人向けだ。11月中旬に発表した2022年4~9月期決算は、売上高が32億3300万ドルと既存の経営資源を活用したベースの比較で前年同期から8%増えた。本業のもうけを示すEBIT(利払い・税引き前損益)は8%増の8億8100万ドルだった。
企業向けでは、豊富なデータを活用して分析力を高めることで商品パッケージを拡充し、新規の顧客数が増えた。米国では、公共料金や通信料金、サブスクリプション(継続課金)サービスなど、毎月の請求書の支払いに関する記録を収集して、信用力の評価に使う「クレジットスコア」を高めるサービスを個人向けに提供する。個人の利用が増え「無料会員からプレミアム会員へのアップセルが進んでいる」(エクスペリアン)。消費者関連事業の売上高は前年同期比12%増と2ケタ伸びた。
金融サービスの英ハーグリーブス・ランズダウンは「個人金融の教育が広がるなかで、個人の金融知識が一段と深まっており、エクスペリアンはその恩恵を受ける位置にある」とみる。さらに、高インフレが長期化するなか、金融機関が融資の際にリスク査定の詳細な調査を追加する動きがあるという。エクスペリアンの信用情報や顧客業種分析などのサービスに対する需要が増え続ければ、株価は堅調に推移する可能性がある。