【NQNニューヨーク=横内理恵、川内資子、三輪恭久】
■ロイヤルカリビアンが続落、JPモルガンが投資判断2段階引き下げ
6日の米株式市場でクルーズ船のロイヤルカリビアン・クルージズ(RCL)が続落し、前日比3.0%安の57.63ドルで終えた。JPモルガンが6日付のリポートで投資判断を「買い」から「売り」に2段階引き下げた。マクロ経済環境の不透明感に加え、同業他社に比べて資金調達が必要になる可能性が高いと指摘した。目標株価は5日終値を約2割下回る47ドルとした。
負債の借り換えやクルーズ船購入のために、来年末までに4億ドルの資金が必要になりそうだという。財務改善のために今後1~2年の間に35億ドル規模の増資か資産売却を実施する可能性があるとも指摘した。35億ドル規模の新株発行は株式価値をおよそ20%希薄化させる要因となる。
JPモルガンはクルーズセクター全般については楽観している。コロナ禍を経て積み上がった需要がこの先数年は業績の追い風になり、株価にも割安感があるとみる。同業のノルウェージャン・クルーズライン・ホールディングス(@NCLH/U)の投資判断は「買い」とした。
■パラマウント・グローバルが大幅安 CEOが広告収入の悪化に言及
6日の米株式市場でメディアのパラマウント・グローバル(PARA)が大幅に続落し、前日比7.0%安の18.15ドルで通常取引を終えた。ロバート・バキシュ最高経営責任者(CEO)が同日午前に開かれたイベントで、2022年10~12月期の広告収入が従来の想定から下振れする可能性に言及した。収益悪化への懸念が高まり、売りが膨らんだ。
バキシュ氏は広告収入について「第4四半期(2022年10~12月期)は第3四半期と同水準とみていたが、若干下回りそうだ」との見方を示した。広告収入が景気変動の影響を受け、循環的であることに触れつつ、「いくつかのセクターで改善すると見ていたが、今のところ実現していない」とも語った。
パラマウント・グローバルが11月2日に発表した22年7~9月期の売上高は前年同期比5%増の69億1600万ドル。経済環境の悪化で、広告収入は同2%減だった。同日の決算説明会では「第4四半期の広告収入の増減率は第3四半期の実績と同程度になる」と予想していた。
■メタが7%安、EU当局が個人情報保護の規制を強化
6日午前の米株式市場で交流サイト(SNS)のメタプラットフォームズ(META)が大幅下落し、一時は前日比6.6%安の114.34ドルを付けた。欧州連合(EU)が個人情報保護のための一段の規制強化を決めたと6日にウォール・ストリート・ジャーナルが報じた。利用者情報の広告利用が大幅に制限される可能性があり、収益への逆風になると懸念された。
報道によると、EUの規制当局は、メタがSNS「フェイスブック」と動画共有アプリ「インスタグラム」の規約に個人の利用状況に基づく広告提示の受け入れを含むことを禁じるという。個人の好みや関心に合わせたターゲット型広告を打ちにくくなる。
メタは利用者に自社のプラットフォーム以外のウェブサイトやアプリの利用状況を元にしたターゲット型広告の提示の可否を選択する機能を与えていたが、自社プラットフォーム上では同様の選択肢を与えていなかったという。
■JPモルガン反発、モルガン・スタンレーが投資判断2段階引き上げ
6日の米株式市場で金融大手のJPモルガン・チェース(JPM)が4営業日ぶりに反発し、一時は前日比2.8%高の135.11ドルを付けた。モルガン・スタンレーが投資判断を「売り」から「買い」に2段階引き上げた。目標株価は従来の126ドルから153ドルと前日終値を16%上回る水準に上げた。景気減速時に底堅い銘柄と指摘し、買いが優勢となった。
担当アナリストは「2023年12月期通期は売上高の増減に対する利益の変動度合いを示す『営業レバレッジ』がプラスに転じる」と予想し、投資判断引き上げの理由に挙げた。消費者や企業向けの銀行事業でのシェア拡大に加え、景気後退時の業績の相対的な底堅さなどがけん引する。「23年の営業レバレッジのプラス幅は目を見張るほどにはならないが、マイナスが続いた21~22年から大きな変調となる」と主張した。
ファクトセットによると、JPモルガンを調査する26社のうちこれまでモルガン・スタンレーが唯一「売り」の判断を示していた。6日の判断引き上げでJPモルガン株に対する弱気派がいなくなったことになる。