【NQNニューヨーク=戸部実華、川上純平】
■エクスペディアなど旅行予約サイト株が大幅安 旅行需要の減速懸念
7日の米株式市場で旅行予約サイト株が軒並み大幅安となり、エクスペディア・グループ(EXPE)は前日比6.3%安の90.79ドル、ブッキング・ホールディングス(BKNG)は4.2%安の1955.56ドルで通常取引を終えた。ウルフ・リサーチがともに投資判断を引き下げ、嫌気した売りが広がった。景気悪化で消費が減退し、旅行需要の伸びが減速するとみる。
担当アナリストは「2023年にマクロ経済が悪化するなか、旅行需要の伸びは和らぐ可能性が高い」と分析。市場の業績予想は「悪化の度合いを正確に映していないようにみえる」と指摘した。今後12~18カ月間で業績予想が下方修正されるにつれ、株価の重荷になるとみる。ブッキング・ホールディングスは旅行予約サイトで最優良銘柄に位置付けるが、欧州の売上高比率が高く、23年に業績悪化のリスクが増すとみる。
■テスラが3%安 バーンスタインが「需要低下で採算悪化」と指摘
7日の米株式市場で電気自動車のテスラ(TSLA)が3日続落し、前日比3.2%安の174.04ドルで通常取引を終えた。バーンスタインが7日、「需要低下の問題が強まりつつある」と指摘。2022年10~12月期に採算が悪化する可能性を指摘し、売りが優勢となった。
担当アナリストは最近の中国での製品値下げに加え、同国の上海工場での12月の生産台数の削減報道、米国での販売奨励金の積み増しなど、需要減退を示唆する材料が続いていると指摘。22年10~12月期については「平均販売価格が7~9月期に比べ1400ドル下落し、自動車事業の売上高総利益率は2ポイント低下する」と試算した。
テスラは具体的な平均販売価格を公表していないが、7~9月期は上海工場の生産制限などで4~6月期比で下落したと明らかにしている。自動車事業の売上高総利益率は7~9月期は27.9%と4~6月期と同じだったが、ピークだった1~3月期(32.9%)から低下した。
バーンスタインは投資判断は「売り」、目標株価は前日終値より17%低い150ドルとしている。
■モンゴDBが大幅高 「予想はるかに上回る決算」との声
7日の米株式市場でクラウド上のデータベースを手掛けるモンゴDB(MDB)が4営業日ぶりに大幅反発し、一時は前日比29.1%高の186.75ドルを付けた。6日夕に発表した2022年8~10月期決算が市場予想を上回り、23年1月期通期の業績見通しを上方修正した。業績拡大への期待が高まり、買いが膨らんだ。
8~10月期の売上高は前年同期比47%増の3億3362万ドルと、QUICK・ファクトセットが集計した市場予想(3億490万ドル)を上回った。アマゾン・ドット・コムの「AWS」などクラウド上で利用可能な主力サービス「アトラス」の伸びが業績をけん引。特別項目を除く1株損益は0.23ドルの黒字を確保した。市場予想は0.17ドルの赤字だった。
23年1月期通期の売上高見通しは12億5700万~12億6000万ドルと、従来予想(11億9600万~12億600万ドル)を上方修正した。下限でも市場予想(12億1000万ドル)を上回る。シティグループのアナリストは決算について「経済的逆風の中、予想をはるかに上回る業績だ」と評価し、目標株価を295ドルから300ドルに引き上げた。投資判断は「買い」を維持した。
■キャンベルスープが反発、値上げ効果で2桁の増収増益
7日の米株式市場で食品のキャンベルスープ(CPB)が反発し、前日比4.8%高の55ドル55セントを付けて過去1年の高値を更新した。7日朝に発表した2022年8~10月期決算で売上高と1株利益がともに市場予想を上回った。「インフレに後押しされた値上げや生産性の向上の成果」(マーク・クロース最高経営責任者=CEO)といい、好業績を評価した買いが集まった。
売上高は前年同期比15%増の25億7500万ドル、純利益は14%増の2億9700万ドルだった。特殊項目除く1株利益は1.02ドル。売上高と1株利益は市場予想(24億5000万ドル、0.88ドル)を上回った。缶詰など食事・飲料部門とスナック部門がともに15%増収と好調だった。
これを受け、23年7月期通期予想の増収率は前期比7~9%増、特殊項目除く1株利益は2.90~3.00ドルに上方修正した。いずれも市場予想(5.2%増、2.91ドル)を上回る。従来予想は売上高は4~6%増、1株利益は2.85~2.95ドルだった。