【NQNニューヨーク=川上純平、川内資子、戸部実華】
■AIソフトのC3aiが8%高 予想上回る決算で買い安心感
8日の米株式市場で人工知能(AI)ソフトのC3ai(AI)が4営業日ぶりに反発し、前日比7.7%高の12.90ドルで通常取引を終えた。7日夕に発表した2022年8~10月期決算で売上高が市場予想を上回った。23年4月期通期の売上高予想を据え置き、業績の下振れ懸念が後退したのも買い安心感につながった。
8~10月期の売上高は前年同期比7%増の6240万ドルと、QUICK・ファクトセットが集計した市場予想(6080万ドル)を上回った。主力のサブスクリプション(継続課金)収入が伸び、業績をけん引した。研究開発費がかさんだことから特別項目を除く1株損益は0.11ドルの赤字となったが、赤字幅は市場予想(0.16ドルの赤字)より小さかった。
通期の売上高見通しは2億5500万~2億7000万ドルと従来予想を維持した。中央値は市場予想(2億6100万ドル)を上回り、世界景気減速で業績が悪影響を受けるとの警戒感が和らいだ。経営陣は決算説明会で「経済の逆風を受けながらも業績は極めて堅調だった」と先行きに自信を示し、買い安心感を誘った。
■テスラが4日続落 「上海工場のシフト短縮」報道で需要懸念
8日の米株式市場で電気自動車のテスラ(TSLA)が4日続落し、前日比0.3%安の173.44ドルで通常取引を終えた。ブルームバーグ通信が8日、「中国の上海工場の従業員のシフト時間を短縮する」と報じた。中国でのテスラ車の需要低下への懸念を裏付ける材料と受け止められ、売りが優勢となった。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、買収したツイッターの負債の借り換えのため、自身が保有するテスラ株を担保に差し出すとの報道も株価の重荷となった。
報道によると、上海工場での従業員のシフトは早ければ12日から1日あたり11時間半から9時間半に短縮される。新規に採用された従業員の研修は11月から来年に延期になったという。従業員を追加する差し迫った必要性がないためといい、需要減への懸念を誘った。
これとは別に、ブルームバーグ通信は8日、「銀行団はツイッターが背負った高金利の負債を借り換えるため、マスク氏にテスラ株を担保とした新たな『マージンローン』の提供を検討している」と報じた。マスク氏によるツイッター買収に関連してツイッターは130億ドルの債務があり、この一部の高金利の無担保債務を新規借入で置き換えるという。
■ラスベガス・サンズなどカジノ株に買い 中国のコロナ規制緩和で
8日の米株式市場でカジノ関連株が買われ、ラスベガス・サンズ(LVS)は一時、前日比5.5%高の49.73ドル、ウィン・リゾーツ(WYNN)は5.5%高の89.65ドルを付ける場面があった。中国で新型コロナウイルスの感染を抑え込む防疫措置の緩和が広がっており、売上高比率が高いマカオ事業の集客回復を期待した買いが入った。
香港政府は8日、新型コロナの感染者に義務付ける自宅などでの隔離を最短7日間から5日間に短縮すると発表した。マカオ政府も同日、中国本土からの入境者に対するコロナ検査の義務を緩和すると発表したと伝わった。7日には中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が「ゼロコロナ」政策の新たな緩和策を発表しており、国内で人の移動がしやすくなるとの期待を高めた。
■シエナ急騰、23年10月期の大幅増収見通しを好感
8日の米株式市場でネットワーク機器のシエナ(CIEN)株が3日ぶりに急反発し、一時は前日比21.3%高の52.45ドルを付けた。8日発表の2022年8~10月期決算は減収だったが、市場予想は大きく上回った。23年10月期通期は大幅な増収になるとの見通しも示した。今年に入り株価は4割強下げており、収益の回復期待から買い直された。
8~10月期の売上高は9億7101万ドルと前年同期比で7%減ったが、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(8億4990万ドル)を大幅に上回った。主力のネットワーク向けは振るわなかったが、サービス部門が底堅かった。純利益は44%減の5764万ドル。減収に加え、研究開発費などが重荷となった。特別項目を除く1株利益は0.61ドルと市場予想(0.08ドル)より大きかった。
ゲーリー・スミス最高経営責任者(CEO)は発表資料で8~10月期について「後半に供給網の状況が改善し、想定を上回る決算につながった」と指摘した。23年10月期は「受注残の大きさと供給網の回復が続いており、売上高の伸びはかなり大きくなると予想する」と述べた。