【NQNニューヨーク=戸部実華】12日の米株市場で値動きが目立った銘柄は以下の通り。△は上昇、▲は下落。
◎航空機のボーイング(BA) △3.7%
JPモルガンが12日付で目標株価を170ドルから200ドルに引き上げた。運航停止や品質問題などに見舞われてきたが、主力小型機「737MAX」と中型機「787」の増産、納入拡大など複数の買い要因を挙げた。インド空運のエアインディアと最大150機の737MAXの受注で合意が近いと10日に伝わったことも材料視された。
◎スポーツ用品のアンダーアーマー(UAA) △10.1%
スタイフェルが11日付で投資判断を「中立」から「買い」に引き上げた。相対的に良好な在庫管理が利益改善を支えると評価した。2023年にキャッシュフローの改善を予想するほか、数週間以内に発表を見込む新たな最高経営責任者(CEO)の下での成長戦略への期待も示した。
◎アイルランドのバイオ製薬ホライゾン・セラピューティクス(HZNP) △15.5%
バイオ製薬のアムジェンによる買収で合意したと12日に発表した。買収価格は116.50ドルと、ホライゾン株の9日終値を19.7%上回る。アムジェンの子会社が全額現金で買収する。ホライゾンは希少疾患向けの特殊医薬品を開発しており、甲状腺眼症(TED)治療薬の販売などが伸びている。
◎費用管理のクーパ・ソフトウエア(COUP) △26.7%
ハイテク分野に強い投資会社トーマ・ブラボーによる買収で合意したと12日に発表した。1株あたりの買収価格は81ドルと、クーパ株の9日終値を30%上回る。買収は全額現金で、23年前半の完了を目指す。クーパは在宅勤務の普及を追い風に急成長したが、今年の株価は前週末までに6割下落。一方、トーマはソフトウエアに特化した買収ファンドの設立を発表するなど、ハイテク株の下げを買収の好機とみているようだ。
◎電気自動車のテスラ(TSLA) ▲6.3%
調査会社YouGovによる7~9月期の世論調査でテスラを「好き」と答えた比率が49%と半分を下回った。米メディアが相次いで調査結果を取り上げ、株売りを誘ったようだ。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッター買収後、党派的な発言が目立つのが消費者の支持低下につながったとの見方があった。ただ、YouGovの調査ではテスラを「嫌い」と答えたのは20%にとどまっており、米メディアの批判報道はやや過剰な面もある。
◎バイオ製薬のモデルナ(MRNA) ▲6.9%
7~8日にステファン・バンセル最高経営責任者(CEO)ら経営陣による株売却が前週末に明らかになった。同業ファイザーとビオンテックが9日、開発した新型コロナウイルスとインフルエンザの混合ワクチンが米食品医薬品局(FDA)から優先審査を受けられる「ファストトラック」に指定されたと発表したことも売りを誘ったようだ。