【ＮＱＮニューヨーク＝三輪恭久、川内資子、横内理恵】

■ジェットブルーが大幅安　10～12月期売上高、予想下限の見込みに
13日の米株式市場で格安航空会社（ＬＣＣ）のジェットブルー航空（JBLU）が大幅に反落し、前日比7.7％安の7.10ﾄﾞﾙで通常取引を終えた。13日に発表した2022年10～12月期（第４四半期）の収益見通しでは、有効座席マイル当たりの売上高（ＲＡＳＭ）が従来予想の下限になるとの見方を示した。強気の会社見通しを引き下げたと受け止められ、売りが膨らんだ。

　ジェットブルーは新型コロナウイルス禍前の19年10～12月期に比べ15～19％増えると見込んでいたＲＡＳＭが「予想の下限になりそうだ」との見方を示した。11月にハリケーン「ニコル」が米南部フロリダを直撃した悪影響を受け「従来は12月をかなり強気にみていたが、予想を下回りそうだ」と説明。祝日の並び方によるマイナスの影響も想定より大きくなるという。

■テスラ４％安、ツイッター騒動によるブランド価値低下を懸念
13日の米株式市場で電気自動車のテスラ（TSLA）が大幅に続落し、前日比4.1％安の160.95ﾄﾞﾙで通常取引を終えた。一時156.91ﾄﾞﾙまで下落し、過去１年（52週）の安値を３週ぶりに付けた。イーロン・マスク最高経営責任者（ＣＥＯ）が10月にツイッター買収して以降、テスラの経営がおろそかになりブランド価値が下がったとの懸念が強まっている。足元で株価の下げが加速しており、一段の株安を警戒した売りが出た。

　マスク氏がツイッターを買収した10月27日以降、前日までにテスラ株は25％下げた。マスク氏はツイッターの経営問題で米メディアをにぎわせており、投資家の間ではテスラの経営を巡る懸念が高まっている。

　フューチャー・ファンド・アクティブ上場投資信託（ＥＴＦ）の創設者のゲーリー・ブラック氏は13日、「マスク氏はツイッターを立て直すために誰かを雇い、５年後に４兆ﾄﾞﾙの時価総額に育つ可能性のあるテスラに集中して欲しい」とツイッターに投稿した。「テスラ車は友人に見せびらかす自慢のものだったが、ツイッターを巡る騒動でブランド価値は傷つけられた」とも指摘した。

　投資会社ガーバー・カワサキ・ウェルス・アンド・インベストメント・マネジメントのロス・ガーバー最高経営責任者（ＣＥＯ）も12日、「ＣＥＯが他の会社で働いている以外にテスラに悪いところは全くなく、自社に集中してくれるＣＥＯを持つべきだ」とツイッターに投稿した。テスラの中国での需要減への懸念がくすぶるなか、こうした問題に対するテスラ経営陣による説明が必要と考える投資家は多い。

　テスラ株は13日に2020年秋以来の安値を付けており、20年秋の取引レンジの120～155ﾄﾞﾙ程度まで下値余地が切り下がったとの指摘がある。


■モデルナが26％高、がんワクチンの治験で良好な結果
13日午前の米株式市場でバイオ製薬のモデルナ（MRNA）が急伸し、一時は前日比26.3％高の208.52ﾄﾞﾙを付けた。13日に製薬のメルクと共同開発するがんワクチンについて、悪性黒色腫（メラノーマ）患者を対象とした臨床試験（治験）の第２相で良好な結果を示したと発表した。同社のメッセンジャーＲＮＡ（ｍＲＮＡ）技術を使ったワクチンで、幅広い種類のがんに対応した治療薬となりうる。大きな成長機会をもたらす可能性があり、好感した買いが膨らんだ。

　進行した悪性黒色腫の切除手術を受けた患者を対象に行った治験で、がんワクチンとメルクのがん免疫治療薬「キイトルーダ」と併用した患者の再発または死亡のリスクがキイトルーダのみを使用した患者と比べて44％下がったという。悪性黒色腫患者の最終段階の治験を2023年に開始し、対象の腫瘍の種類を広げて治験を行う方針も示した。

　ｍＲＮＡを使うことで、がんの種類などに応じたワクチンが製造できる。実用化されれば、強い需要があるとみられる。

■ピンタレストが13％高 「23年に複数の追い風」とアナリスト指摘
13日の米株式市場で画像検索・共有サービスのピンタレスト（PINS）株が大幅に３日続伸し、一時は前日比13.5％高の26.79ﾄﾞﾙを付けた。パイパー・サンドラーが13日、投資判断を「中立」から「買い」に、目標株価を25ﾄﾞﾙから前日終値より27％高い30ﾄﾞﾙに引き上げた。業績回復を示す複数の兆しがあり「株価はすでに底を付けた」と指摘し、買いを誘った。

　担当アナリストは「広告市場の状態とは関係なく、ピンタレストには2023年に複数の追い風が吹く」と指摘した。最近実施した広告主向け調査で、ピンタレストのみ投資利益率や追跡型広告などの指標が前年比で上昇し「シェア拡大を示唆した」という。22年７～９月期は月間利用者数が６四半期ぶりに増加に転じ、利用者状況も改善しつつある。売上高が増えるなか人員削減などを背景に利益率が上昇し、自社株買い資金を振り向ける可能性も高いと分析した。