【NQNニューヨーク=戸部実華、川上純平、横内理恵】
■ファイザーが続伸 中国の医薬品卸と販売契約を好感
14日の米株式市場で製薬のファイザー(PFE)が3日続伸し、前日比2.7%高の54.48ドルで通常取引を終えた。中国の医薬品卸の中国医薬健康産業が14日、ファイザーが開発した新型コロナウイルスの経口治療薬「パクスロビド」の輸入販売契約を結んだ。中国の新型コロナ対策規制が緩和されるなか、治療薬の販売が伸びるとみられており、業績拡大を期待した買いが優勢になった。
中国医薬健康産業はパクスロビドを中国本土の市場で流通させる。契約は2023年11月30日まで有効という。中国政府が12月7日に新型コロナウイルスの感染を抑え込む「ゼロコロナ」政策の新たな緩和策を発表し、目先は急速に人の移動が増えることによる感染拡大が予想されている。
米国でも販売拡大の好材料が出た。13日夕に米政府がパクスロビドを追加で370万回分を購入することで合意したことが明らかになった。米政府はこれまでに2000万回分を調達している。
■テスラが連日の安値更新、ゴールドマンが目標株価引き下げ
14日の米株式市場で電気自動車(EV)のテスラ(TSLA)が続落し、前日比2.6%安の156.80ドルで終えた。一時は155.31ドルを付け、連日で過去1年間の安値を更新した。ゴールドマン・サックスが13日、目標株価を305ドルから235ドルに引き下げた。テスラ車の需要減速見通しを反映した。
マクロ経済環境の悪化などを理由にテスラの2022年10~12月期のEV出荷台数見通しを従来の44万台から42万台に、23年12月期通期の出荷見通しを195万台から185万台に引き下げた。中国市場での値下げの影響などで22年10~12月期の売上高総利益率が7~9月期と比べて小幅に低下するとも予想した。
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッターを買収したことがテスラのブランド力に影響していることにも言及した。ゴールドマンは、テスラのブランド価値は代替エネルギー市場や技術革新における先駆者という点にあると指摘。長期的に投資家の期待に応えるためには、消費者の関心が技術力など本来の特質に戻ることが重要だという。
テスラ株は今年に入って13日終値までに5割強下げた。マスク氏のツイッター買収以降に下げが加速し、株価は20年秋以来の安値圏に沈んでいる。
■チャーターが一時14%安、来期の設備投資拡大を嫌気
14日の米株式市場でCATV大手のチャーター・コミュニケーションズ(CHTR)が急落し、一時は前日比14.4%安の336.07ドルを付けた。13日夕に2023年12月期通期の設備投資の拡大計画を発表した。安定的な株主還元を期待した投資家が多い銘柄だけに、設備投資増が自社株買いなど悪影響を及ぼすとの懸念から売りが広がった。
13日に開いた投資家向け会合で明らかにした。23年12月期通期のネットワークの拡張や強化に向けた設備投資の総額は105億~108億ドルと、22年12月期通期予想の91億~93億ドルから増やす。23年以降も投資を拡大する方針で、24年か25年にピーク迎えるという。
発表を受け、UBSは目標株価を415ドルから406ドルに引き下げた。投資拡大が「自社株買いの減少につながる」と分析した。シティグループも「フリーキャッシュフロー(純現金収支)と自社株買いの市場予想が引き下げられ、株価を押し下げる」と指摘した。一方、キーバンク・キャピタル・マーケッツは「投資家は設備投資拡大に伴う長期的な成長余地を過小評価している」とみて、目標株価を580ドルで据え置いた。
■デルタ航空が反発、旅客需要堅調で10~12月期の利益見通し上振れ
14日の米株式市場で空運のデルタ航空(DAL)が反発し、一時は前日比4.2%高の34.78ドルを付けた。2022年10~12月期の利益見通しを14日に上方修正し、23年12月期通期も収益が向上する見通しを示した。業績拡大への期待が高まり、買いが入った。
10~12月期は特殊要因を除く1株利益が1.35~1.40ドルと従来予想(1.00~1.25ドル)を上方修正した。旅客需要が堅調に推移し、下限でもQUICK・ファクトセットが集計した市場予想(1.12ドル)を上回る。22年12月期通期では3.07~3.12ドルになる見通し。
併せて23年12月期通期の特殊要因除く1株利益が5~6ドルと大幅に増える予想も示した。売上高の伸びが収益をけん引する。1株利益は24年12月期に7ドル超を確保するとの目標に向け「軌道に乗っている」(会社)という。