【NQNロンドン=菊池亜矢】仏ホテル大手アコーの株価が上昇している。9日に一時26.12ユーロとおよそ4カ月ぶりの高値を付けた。新型コロナウイルスに関連した規制の解除が各国・地域で進み、旅行やビジネスの需要が増え始めたことで、客室の平均単価が急速に改善。当面の業績回復を予想した買いが入っている。
アコーは「ラッフルズ」や「ソフィテル」などのホテルブランドを運営する。10月下旬に発表した2022年7~9月期決算は、売上高が11億4900万ユーロと同一条件で比較したベースで前年同期比83%増だった。国内外のレジャー需要が好調だったほか、見本市や展示会などのビジネス利用が回復し、収益を押し上げた。
22年7~9月期の1室当たりの平均売上高(RevPAR)は72.2ユーロと、新型コロナ感染が拡大する前の2019年7~9月期の68ユーロを上回った。客室稼働率が66.9%と19年の同期間(73%)には届かなかったものの、平均客室単価が107.9ユーロと16%上がったことが寄与した。
22年12月期通期の業績見通しは9月下旬に、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を前期比28~29倍の6億1000万~6億4000万ユーロと、従来予想(25倍の5億5000万ユーロ以上)から上方修正した。その後の決算発表時にはセバスチャン・バザン会長兼最高経営責任者(CEO)が「この見通しレンジの上限に届く自信がある」とコメントした。
QUICK・ファクトセットによるとアナリスト18人の約6割が「買い」か「強気」と評価しており、目標株価の平均は29.49ユーロと足元の株価を上回る。インフレによる営業費用の増加や個人消費の冷え込みなどリスク要因に一定の警戒感があるものの、業績回復の勢いがあるため、株価は堅調に推移する可能性がある。