【NQNニューヨーク=古江敦子】19日の米株式市場で値動きが目立った銘柄は以下の通り。△は上昇。▲は下落。
◎クルーズ船のカーニバル(CCL) ▲4.3%
クルーズ船業界サイトが前週末、カーニバルの豪華客船「ビスタ号」が保守整備のためドック入りしており、2024年1~2月の予約キャンセル手続きを開始していると報じた。ビスタ号は9月にも想定外の整備の必要性を理由に22年後半から23年前半のカリブ海のクルーズ日程を変更しており、運航の不透明感や収益への影響が懸念された。
◎ネット通販のアマゾン・ドット・コム(AMZN) ▲3.3%
過去1年(52週)の安値をつけた。エバコアISIが目標株価を170ドルから150ドルへ引き下げた。ネット通販とクラウドサービスの両事業で収益鈍化が続くと予想。2023年12月期通期の売上高と営業利益が市場予想を下回るとみる。
◎電気自動車のテスラ(TSLA) ▲0.2%
イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッター上で実施したアンケート結果を受け、同氏がツイッターのトップを退く観測が浮上。同氏がテスラの経営に注力できるとの期待が株価を押し上げ、一時は3%高となった。ただ、トップ退任には不透明感が根強かった。オッペンハイマーは「マスク氏のツイッター経営関与は避けられない」と指摘し、テスラの投資判断を「買い」から「中立」引き下げた。
◎音楽出版・レコードのワーナー・ミュージック・グループ(WMG) △1.2%
一時は3%上昇した。アトランティック・エクイティーズが投資判断を「中立」から「買い」に引き上げ、目標株価を34ドルから41ドルと前週末終値より22%高い水準に引き上げた。音楽配信サービスの今後10年の売上高の年平均成長率(CAGR)が10%に高まると予想。新興国での市場シェア拡大が寄与するとみる。
◎電力のNRGエナジー(NRG) △1.6%
バンク・オブ・アメリカが19日付で投資判断を「売り」から「中立」に引き上げた。住宅設備を通信でつなげる「スマートホーム」のシステムを手掛けるビビント・スマートホームの買収の相乗効果で2025年12月期通期のフリーキャッシュフロー(純現金収支)や収益の目標達成が視野に入ったと指摘した。
◎交流サイトのメタプラットフォームズ(@META/U) ▲4.1%
欧州連合(EU)の欧州委員会が19日、EU競争法(独占禁止法)に違反した疑いがあると警告する「異議告知書」をメタに送付したと発表。欧州委がメタの違反を最終的に認定すれば、メタは最大で全世界での年間売上高の10%の制裁金を支払うことになる。財務を圧迫しかねないとの懸念から売りが出た。
◎住宅建設のKBホーム(KBH) ▲2.8%
19日に全米住宅建設業協会(NAHB)が発表した12月の米住宅市場指数が31と前月(33)から低下し、約10年ぶりの低水準となった。住宅需要の低下を見込む売りが住宅関連株に広がり、レナーやDRホートン、パルトグループなども下げた。
◎防衛のL3ハリス・テクノロジーズ(LHX) ▲3.6%
18日に同業のエアロジェット・ロケットダイン(AJRD)を47億ドルで買収することで合意したと発表し、財務負担を懸念する売りが出た。ウクライナへの軍事支援が続く中、ミサイルや防空システムの開発・製造を手掛けるエアロジェット買収で事業を強化する。買収は23年中に完了する見込み。エアロジェット株は1株当たりの買取額にさや寄せして上昇した。