【NQNニューヨーク=三輪恭久、川内資子】
■AMD反落、バーンスタインが投資判断下げ PC市場の悪化見込む
24日の米株式市場で半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が3営業日ぶりに反落し、前日比2.4%安の74.70ドルで通常取引を終えた。バーンスタインが投資判断を「買い」から「中立」に、目標株価を95ドルから80ドルに引き下げた。主要な供給先であるパソコン市場の環境が想定より悪化しているといい、売り材料になっている。
担当アナリストはこの数カ月の間にパソコン需要が減少したことを格下げの理由に挙げた。消費者がモノからサービスへと支出の軸を移しているほか、高インフレが続く中で高額消費を抑えていることが響いたという。同業のインテルとの競争激化もあって、新製品が一つ前の世代よりも短期間で値下がりしたことなどを踏まえ、利益成長の潜在的なリスクになるともみていた。
AMDの株価は年初から堅調に推移。前日には別のアナリストによる投資判断の引き上げもあって、大幅高となっていた。前日終値は昨年末に比べ18%高く、短期的な利益確定売りも出やすくなっていた。
■ベライゾンがもみ合い、今期は市場予想下回る
24日の米株式市場で通信のベライゾン・コミュニケーションズ(VZ)がもみ合い。前日比1%程度高い40ドル前後で推移している。同日朝に発表した2022年10~12月期決算はほぼ市場予想通りだった。ただ、23年12月期通期の見通しは1株利益の予想が市場予想に届かず、嫌気した売りで下げる場面があった。
10~12月期の売上高は前年同期比3%増の352億5100万ドルだった。QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(350億9000万ドル)を上回った。携帯電話などの個人契約の伸びが寄与した。一方で費用もかさみ、特別項目を除く1株利益は1.19ドルと市場予想と一致した。
23年12月期通期の1株利益は4.55~4.85ドルを見込む。上限でも市場予想(4.96ドル)を下回る。調整後のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は470億~485億ドルと予想。市場予想の486億6000万ドルに届かず、売り材料となる場面があった。
■スリーエムが大幅安、23年12月期見通しが市場予想下回る
24日の米株式市場で工業製品・事務用品大手のスリーエム(3M、MMM)株が大幅に3営業日ぶりに反落し、前日比6%安の115ドル強で推移している。24日朝に発表した2022年10~12月期決算で特別項目を除く1株利益が2.28ドルと市場予想(2.36ドル)を下回った。同時に示した23年12月期通期の見通しも市場予想に届かず、売りが優勢となった。
10~12月期の売上高は前年同期比6%減の80億7900万ドルとQUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(80億5000万ドル)ほど減らなかった。ただ、為替変動や事業買収・売却など除く売上高は0.4%増と会社予想(1~3%増)を下回った。消費者関連の製品が12月に急減速したほか、中国での新型コロナウイルスの感染拡大が逆風となった。販管費の増加が響き、純利益は60%減の5億4100万ドルだった。
今期の通期の特別項目を除く1株利益見通しは8.50~9.00ドルと市場予想(10.22ドル)を下回る。調整後の売上高は前期比2~6%減を見込む。市場予想は2.7%減。発表資料では「23年もマクロ経済の厳しさが続く」と指摘した。最終市場の減速に合わせて、製造業関連の従業員を約2500人削減するとも発表した。