QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2023/01/31)
・今期は欧州車載事業で多額の構造改革費用を計上
会社側は3Q決算発表時(1月24日)に、23/3期通期の連結営業利益計画を、2100億円→1100億円(前期比35%減)へ大幅に下方修正した。欧州の車載事業中心に多額の構造改革費用を計上することが主因。加えて、IT機器や家電などの出荷ピークアウトも織り込んだとしている。足元の市場環境悪化を踏まえて同社は、「WPR−X」と称する収益性改善運動を発動。固定費の大幅な低減を図る考え。企業価値研究所では、会社修正計画はおおむね妥当と判断、強めだった営業利益予想を同社修正値まで大きく減額することとした。
・円高考慮も、来期は営業利益で過去最高更新を予想
続く24/3期以降の営業利益予想も、為替レートの前提を円高方向に見直したことを主因に減額する。ただし、前述の構造改革費用は一過性のものと判断、「WPR−X」発動による収益性改善効果も見込み、営業利益の減額幅は23/3期と比較して小幅なものにとどめた。24/3期には営業利益率10%台への回復を予想、営業利益で過去最高を更新する見通しとした。注目のBEV(電気自動車)用トラクションモータシステムは、第2世代への入れ替えにより、24/3期に黒字化するとみている。
・リスクファクター ~創業者に依存する経営体制
・アナリストの投資判断 ~来期以降の利益回復を予想。株価も持ち直すとみる
直近の株価に基づく翌24/3期の予想PERは23倍。同社の過去60カ月(一過性費用を計上した20/3期を除く)の平均PER40倍との比較では割安感がある。永守会長の能力と手腕に依存する経営体制は長期的なリスク要因との見方は変えないが、来期以降の利益回復の確度が高まっていくに従い、株価も持ち直す展開を予想する。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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