【NQNニューヨーク=戸部実華、川内資子】
■フェデックス4%高、経営幹部を10%超削減
1日の米株式市場で物流のフェデックス(FDX)が続伸し、前日比4.3%高の202.11ドルで終えた。経営幹部を10%超と大幅に削減すると1日に発表した。世界経済の減速を背景とした配送需要の低迷を受けて、コスト削減を加速することを好感した買いが優勢となった。
ラジ・スブラミニアム最高経営責任者(CEO)は1日に公表した従業員向けの書簡で、人員削減について「より効率的で機敏な組織になるために必要な措置だ」と説明した。顧客の需要に見合うように組織を編成する必要があるとの認識を示した。
同社は2022年9月には需要の弱さを受けて、23年5月期通期中に22億~27億ドルのコスト削減計画を発表していた。広報担当者は1日、今期初である22年6月以降に米国で1万2000人超の人員削減をすでに実施したと明らかにした。
■AMDが一時8%高、業績見通し「懸念していたより良い」との評価
1日の米株式市場で半導体のアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が続伸し、一時前日比8.3%高の81.37ドルを付けた。前日夕に発表した2022年10~12月期決算で売上高や1株利益が市場予想を上回った。1~3月期は減収見通しだが同業大手のインテルよりは良好だったうえ、年後半の収益の伸びを見込むアナリストが多く、好感した買いが広がった。
10~12月期の売上高は前年同期比16%増の55億9900万ドルと、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(55億1000万ドル程度)を上回った。パソコン向けが大幅な減収だったが、データセンターと、買収したザイリンクスの事業を含む組み込み型の2部門が伸びをけん引した。特別項目を除く1株利益は0.69ドルと市場予想(0.67ドル)以上だった。パソコンやゲーム向けの不振が続くため、23年1~3月期の売上高は前年同期比10%程度減る見通しを示し、中央値は市場予想を下回った。
決算を受け、モルガン・スタンレーは「見通しは弱かったが、非常に厳しい環境下で懸念されていたより良かった」と評価した。インテルが前週発表した1~3月期見通しは4割ほどの減収を見込んでいたため「投資家に安堵感をもたらしただろう」とみる。年後半には「ハイパースケーラー」と呼ばれる大規模データセンター向けの需要回復に加え、中国の経済正常化などを背景に市場シェア拡大を見込む。投資判断「買い」、目標株価は77ドルから87ドルに引き上げた。
バンク・オブ・アメリカも「23年後半は(データセンターの)サーバー向けの伸びが収益回復につながる」とみる。1~3月期の売上高見通しは市場予想を下回ったが「インテルの大幅な減収率と比べるとはるかに良く、AMDの市場シェア拡大を示唆している」と指摘。投資判断を「買い」、目標株価を82ドルで据え置いた。
一方、ドイツ銀行は相対的なアウトパフォーマンスを評価しつつも、市況環境や競争激化を考慮すると1株利益の伸びは限られるとみて投資判断は「中立」を維持。目標株価は68ドルから70ドルに上方修正した。シティグループは景気悪化やデータセンター向けの在庫調整の動向を見極める必要があり「悪材料が株価に織り込まれるまで慎重姿勢を維持する」という。目標株価は65ドルから76ドルに引き上げたが、投資判断は「中立」で据え置いた。
■ウエスタン・デジタル7%安、次期の売上高見通しが市場予想下回る
1日の米株式市場で半導体メモリー大手のウエスタン・デジタル(WDC)株が3日続落し、一時は前日比6.6%安の41.04ドルを付けた。前日夕に2022年10~12月期決算と併せて発表した23年1~3月期の売上高見通しが市場予想を下回った。業績停滞が続くと懸念した売りが優勢となった。
22年10~12月期の売上高は前年同期比36%減の31億700万ドル。フラッシュメモリーの値崩れやクラウド関連の在庫整理が重荷となった。ただ、QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(29億8000万ドル)は上回った。大幅減収が響き、最終損益は4億4600万ドルの赤字(前年同期は5億6400万ドルの黒字)となった。特別項目を除く1株損益は0.42ドルの赤字と赤字幅は市場予想(0.15ドル)より大きかった。
23年1~3月期の売上高見通しは26億~28億ドルと上限でも市場予想(29億6000万ドル)を下回る。需要停滞に対応し、1月から半導体ウエハーの生産を3割減らしている。
決算を受け、米国みずほ証券は目標株価を38ドルから35ドルに引き下げた。NAND型フラッシュメモリーとハードディスクドライブ(HDD)の両方で売上高総利益率が低下する見通しで「1~3月期の会社予想が非常に弱かった」と指摘した。