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日本ゼオン(4205) 事業環境は想定よりも厳しく、業績予想を下方修正

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2023/02/02)

・主要製品の需要が低迷し、採算も悪化
 23/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高4050億円→3900億円(前期比8%増)、営業利益380億円→290億円(同35%減)へ引き下げる。今期は従来から、合成ゴムの採算悪化や大型テレビ向け光学フィルムの需要低迷などで減益になるとみていたが、3Qの実績は合成ゴムやラテックス、光学フィルムなど主要製品の出荷や採算が総じて振るわず、業績が悪化。4Qも需要は低調に推移する見込みで、為替が円高傾向となったこともあって通期で従来予想を上回る大幅な減益が避けられない見通しとなった。続く24/3期も期前半は需要低迷で厳しい事業環境が続くが、下期以降は回復に転じて通期では増益となり、25/3期も着実な回復軌道を辿ろう。

・数量減と原料高などの影響で3Qまで苦戦
 23/3期3Q累計の連結営業利益は、前年同期比24%減の278億円。合成ゴムや光学フィルムなど主要製品の販売数量減に加えて原料高による採算悪化の影響が厳しく、苦戦を避けられなかった。

・リスクファクター ~全般的な需要回復の遅れなど

・アナリストの投資判断 ~上値は重いながら、底堅い展開に
 同社の株価は22年初め以降、1300円台を中心としたボックス圏での取引が続いている。直近では3Q決算と会社側の業績見通し下方修正が嫌気されて大きく下落したこともあり、当研究所の来期予想連結PERで約11倍と、電子材料メーカーの平均である同13倍を下回る。同社のPERは通常、他の電子材料メーカーを下回るため特段の割安感はなく、足元の事業環境の厳しさを考慮すると短期的な株価上昇は難しいが、半導体材料を主力とする他社が来期は減益となる公算が大きいのに対し、同社は今期の大幅減益から増益に転じるとみられる。これらの点を勘案すると、セクター平均をやや下回る12倍程度の評価が妥当であり、上値は重いながら、底堅い展開が続くと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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