【NQNニューヨーク=稲場三奈、三輪恭久、川上純平】
■ロブロックスが一時27%高、予想を上回る決算を好感
15日の米株式市場でオンラインゲーム運営のロブロックス(RBLX)が大幅に続伸し、一時は前日比27.1%高の45.34ドルを付けた。朝方発表の2022年10~12月期決算で、ゲーム内のアイテム購入に使う「通貨」の購入額など売上高に将来計上する分を含めた「ブッキングズ」が市場予想を上回り、好感した買いが膨らんだ。
収益の先行指標であるブッキングズは前年同期比17%増の8億9943万ドルとQUICK・ファクトセットが集計した市場予想(8億6920万ドル)を上回った。売上高は2%増の5億7900万ドル。1日当たりの平均利用者数(DAU)が19%増の5880万人となったほか、利用時間も増えた。
同時に示した23年1月のブッキングズの見越しは前年同月比19~21%増の2億6700万~2億7100万ドルだった。DAUと利用時間がともに前年同月比19%増えたといい、好調が続いたのも買いを誘った。
■アカマイが急落 23年12月期の設備投資の増額を嫌気
15日の米株式市場でコンテンツ配信サービスのアカマイ・テクノロジーズ(AKAM)が大幅に続落し、一時は前日比10.8%安の78.32ドルを付けた。14日夕に2022年10~12月決算と同時に明らかにした23年12月期通期の見通しでは、クラウド事業を中心に設備投資を増やす。収益を圧迫することへの警戒が根強く、売りが膨らんでいる。
23年1~3月期は売上高が9億~9億1500万ドルを見込む。QUICK・ファクトセットがまとめた市場予想は9億1480万ドルだった。通年では37億~37億7500万ドルを想定する。市場予想の37億3000万ドルとほぼ一致した。ただ、通期の設備投資額は売上高の21%程度と、前期の15%から増える見込み。クラウド事業への人員配置も増やすという。
RBCキャピタル・マーケッツは15日付で、投資判断を「買い」から「中立」に、目標株価を100ドルから85ドルに引き下げた。担当アナリストは「クラウド業界は過当競争になっており、(アカマイが)大手に価格面で対抗するのは厳しい」と指摘する。グッゲンハイムはセキュリティー事業の伸び鈍化も織り込み、同事業の売上高とフリーキャッシュフローの見通しを引き下げた。投資判断は「売り」、目標株価は75ドルで据え置いた。
22年10~12月期決算は売上高が前年同期比2%増の9億2800万ドルだった。市場予想の9億510万ドルを上回った。特別項目を除く1株利益も1.37ドルと、市場予想(1.26ドル)を超えた。
■トレードデスク29%高、予想上回る決算と自社株買いで
15日の米株式市場でネット広告配信支援のトレードデスク(TTD)が大幅に続伸し、一時は前日比29.1%高の64.43ドルを付けた。15日朝に発表した2022年10~12月期決算は売上高と1株利益が市場予想を上回った。23年1~3月期も好調が続く見通しで、好感した買いが膨らんだ。
10~12月期の売上高は前年同期比24%増の4億9073万ドルと、QUICK・ファクトセットが集計した市場予想(4億9050万ドル)を上回った。米景気の減速で企業が広告への支出を絞るなか、データ分析に基づいて広告の費用対効果を最適化するサービスの需要が拡大した。特別項目を除く1株利益も0.38ドルと市場予想(0.35ドル)以上だった。
23年1~3月期の売上高は少なくとも3億6300万ドルになるとの見通しを示した。市場予想(3億5800万ドル)を上回り、買い材料視された。経営陣は決算説明会でサービス需要の強さに自信を示し「23年もシェアを拡大し続けるだろう」とコメントした。
併せて7億ドルの自社株買いを実施すると発表した。株式需給が改善するとの期待も株価を押し上げている。