【NQNニューヨーク=稲場三奈、川上純平、川内資子】
■リングセントラルが24%安、競争激化で売上高が予想下回る
16日の米株式市場でビデオ会議やビジネス対話アプリのリングセントラル(RNG)が4営業日ぶりに反落し、一時は前日比23.7%安の36.93ドルを付けた。15日夕に発表した2022年10~12月期決算は売上高が市場予想を下回った。23年1~3月期の見通しも振るわず、業績懸念が広がった。
10~12月期の売上高は前年同期比17%増の5億2474万ドルとQUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(5億2740万ドル)を下回った。売上高の9割超を占めるサブスクリプション(継続課金型)収入が19%増えたが、マイクロソフトの「チームズ」やズーム・ビデオ・コミュニケーションズとの競争激化で伸び率が鈍化した。
23年1~3月期の売上高見通しは5億2600万~5億3000万ドルと上限でも市場予想(5億4420万ドル)に届かない。サブスクリプション収入の伸びが前年同期比14~15%増と、22年10~12月期に比べさらに減速する。
決算発表を受け、エバコアISIは投資判断を「買い」から「中立」に引き下げた。ライバル企業との競争や米経済の減速が業績の逆風になり「目先は株価上昇のきっかけが見当たらない」と指摘した。
■ロクが21%高 決算が市場予想上回り見直し買い
16日の米株式市場で動画配信機器のロク(ROKU)が大幅に4日続伸し、一時は前日比20.7%高の76.62ドルを付けた。15日夕に発表した2022年10~12月期決算は売上高が市場予想を上回った。アナリストの目標株価引き上げもあり、買いが膨らんだ。
売上高は前年同期比で微増の8億6705万ドルだった。減収になるとの市場予想(QUICK・ファクトセット調べ、8億260万ドル)に反して増収を確保した。広告事業などを含むプラットフォーム部門の伸びが機器販売の不振を補った。株価は2021年末から前日にかけ7割下落しており、投資家の見直し買いを誘った。調整後EBITDA(利払い前・税引き前・償却前損益)は9522万ドルの赤字だったが、赤字幅は市場予想(1億3130万ドルの赤字)より小さかった。
23年1~3月期の売上高見通しは7億ドルと市場予想(6億9160万ドル)を上回る。調整後EBITDAは赤字が続く見込みだが、会社は「費用の管理と売上高の伸びにより24年12月期通期には黒字化する」との計画を示した。
決算発表を受け、ニーダムは目標株価を65ドルから80ドルに引き上げた。アカウント数の増加により広告が利用者にみられやすくなっているとして「ロクの持つ資産が過小評価されている」と指摘した。投資判断は「買い」を維持した。
■ショッピファイが一時17%安 売上高の伸び悩みを警戒
16日の米株式市場でネット通販支援のショッピファイ(SHOP)が4営業日ぶりに急反落し、一時は前日比17.0%安の44.31ドルを付けた。14日夕に発表した2022年10~12月期決算で売上高は市場予想以上に増えた。一方、23年1~3月期には増収率が伸び悩むとの見通しを示した。株価は今年に入り5割超上昇しており、利益確定目的の売りを誘った。
22年10~12月期の売上高は前年同期比26%増の17億3497万ドルとQUICK・ファクトセットがまとめた市場予想(16億5000万ドル)を上回った。取引総額は13%増の610億ドルと市場予想(583億ドル)以上に増え、主力の決済事業が30%の増収となった。最終損益は6億215万ドルの赤字。研究開発費がかさみ、赤字幅は前年同期(3億7139万ドル)から拡大した。特別項目を除く1株損益は0.07ドルの黒字と市場予想(0.01ドルの赤字)に反して黒字だった。
23年1~3月期の増収率は10%台後半を見込む。22年10~12月期から伸び悩み、市場予想(20.2%)より小さくなる。最近発表した値上げを背景に、売上高総利益率は小幅な上昇を予想する。
カナコード・ジェニュイティは目標株価を40ドルから45ドルに引き上げ、「10~12月期決算は堅調なものの、見通しが退屈だった」と指摘した。先行きの収益拡大の可能性は高いとみるが、株価は足元の上昇で割高になっており、値ごろ感が出るまで株買いの見送りを推奨した。