【NQNニューヨーク=川上純平】10日の米株式市場で銀行株が軒並み下落した。主要銀行で構成するKBW銀行株指数は10日に前日比3.9%安い92.21と2020年11月以来の安値を付けた。米中堅金融SVBファイナンシャル・グループ傘下のシリコンバレーバンクが10日、経営破綻した。金融システム不安につながりかねないとの警戒感から銀行株全般に売りが広がった。
米連邦準備理事会(FRB)の利上げによる金利の上昇(債券価格は下落)を背景に保有債券の含み損が膨らんだことなどが経営破綻につながった。他の銀行にも信用不安が及ぶとの警戒感が高まり、10日はシグネチャー・バンク(22.9%安)やウエスタン・アライアンス・バンコープ(20.9%安)、ファースト・リパブリック・バンク(14.8%安)など中堅銀行が大幅に下げた。SVBファイナンシャル株は終日、売買停止だった。
※一年前を100としてシグネチャー・バンク(黄)やウエスタン・アライアンス・バンコープ(赤)、ファースト・リパブリック・バンク(白)を指数化
市場では「銀行全体の危機に広がるとみるのはおおげさだ」との指摘もある。経営体力で勝る大手銀の株価は底堅く推移し、シティグループは0.5%安、バンク・オブ・アメリカは0.9%安で終えた。JPモルガン・チェースは2.5%上昇した。