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花王(4452) 中期的な収益改善へ向けて構造改革を実施

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2023/08/28)

・構造改革費用を除いたコア営業利益は増益に
 23/12期通期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上高1兆5600億円→1兆5700億円(前期比1%増)、営業利益1200億円→580億円(同47%減)へ修正する。上期の決算にあわせて会社側が、中国での紙おむつの生産終了など、中期的な収益改善へ向けた構造改革を実施し、600億円の費用を計上すると発表。この影響を除いたコア営業利益は従来予想と大きな変更はなく、原料高に対応した戦略的な値上げと高付加価値製品の拡販、合理化の効果により増益となる見通し。続く24/12期以降は構造改革の効果による固定費の削減も寄与し、増収、増益基調となろう。

・上期は構造改革費用を除いても大幅減益に
 23/12期上期は、構造改革費用を除いた連結コア営業利益が前年同期比36%減の345億円となった。コンシューマープロダクツ事業で戦略的な値上げを進めたが、販売数量が総じて振るわず、ケミカル事業の苦戦とあわせて大幅な減益を余儀なくされた。

・リスクファクター ~値上げした製品価格の維持など

・アナリストの投資判断 ~割高感はなく、堅調な株価推移を見込む
 1Qの決算内容が嫌気されて23年5月に急落した株価は、その後5000円台前半での推移が続いていたが、上期の決算にあわせて発表された構造改革の内容が好感されて足元にかけて上昇。直近では24/12期の当研究所予想連結PERで約26倍と、同社の過去の平均的な水準である25倍をやや上回る。ただし、構造改革の効果による固定費削減や高付加価値品の拡販で24/12期以降の業績は着実に拡大する見通しで、継続的な株主還元などに対する評価にも変わりはない。このため割高感はなく、過去の平均を小幅上回る28倍程度の評価は可能であり、株価は堅調に推移すると考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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