【日経QUICKニュース(NQN)】郵船が後場、荒い値動きだった。一時、前営業日比281円(7.42%)安の3502円を付けた。12時に、2024年3月期(今期)の連結経常利益が前期比79%減の2350億円になる見通しだと発表した。2200億円を見込んでいた従来予想から減益幅が縮小する。後場寄りにはやや下げ幅を縮小する場面があったが、純利益の予想は据え置いており、間もなく売りに押される展開となった。
自動車などを輸送する不定期の専用船の収益が従来の想定を上回る。ただ、海運大手3社が共同出資するコンテナ船事業会社、オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)が手掛けるコンテナ船事業の荷動きの回復は鈍い。修正後の経常利益は市場予想の平均であるQUICKコンセンサスの2320億円をわずかに上回るにとどまった。
海運株には朝方から売りが先行していた。商船三井(9104)と川崎汽(9107)も後場にきょうこれまでの安値を付ける場面があった。コンテナ船市況の先行きは不透明で、市場では「中国の消費の回復の鈍さが気掛かりだ」(楽天証券経済研究所の土信田雅之シニアマーケットアナリスト)との指摘があった。
■今期営業益44%減に上方修正 ロジスティクスなど堅調
日本郵船(9101)は6日、2024年3月期(今期)の連結営業利益は44%減の1650億円になりそうだと発表した。従来予想の51%減の1460億円から上方修正した。定期船事業のコンテナ船部門は需要低迷による市況下落の影響が続いている一方、物流事業のロジスティクス事業が北米や欧州でEコマース関連などの荷動きが好調だった。
修正した営業利益予想は市場予想平均のQUICKコンセンサスの1632億円(10月23日時点、10社)を小幅に上回った。売上高は前期比13%減の2兆2800億円(従来予想は17%減の2兆1700億円)に引き上げた。不定期専用船事業も半導体不足解消による自動車生産の回復から想定より伸びる。純利益は78%減の2200億円とする従来予想を据え置いた。
同時に発表した23年4~9月期の連結決算は、売上高が前年同期比14%減の1兆1683億円、営業利益が40%減の987億円、純利益が84%減の1133億円だった。
■郵船社長「不定期専用船、好調さ維持」 コンテナ船には厳しい見方
日本郵船(9101)は6日、2023年4~9月期の決算説明会を開催し曽我貴也社長は「24年3月期(今期)は大幅な減収減益だがサプライズではなく、経常利益で1兆円を超えた過去2年が特殊だった」とした上で、足元について「不定期専用船が好調さを維持している」と述べた。
低迷が続く海運大手3社共同出資のコンテナ船事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス(ONE)」については、「下期から北米の在庫が解消し荷動きが復活してくるとみていたが、現状でも荷動きそのものが低迷している」と想定より厳しい状況が続いているとした。