【NQNロンドン=蔭山道子】11月28日のロンドン株式市場で航空エンジン大手の英ロールス・ロイス・ホールディングス株が一時、前日比7.6%高の261.60ペンスと2019年11月中旬以来、4年ぶりの高値をつけた。市場予想を上回る中期計画が株価を押し上げた。営業利益は2027年をメドに25億~28億ポンドと、22年12月期通期の実績値(特殊要因を除く実質ベースで約6億5000万ポンド)の4倍に引き上げるとの目標を掲げる。
28日に27年をメドとする中期目標と、その達成に向けた事業計画を公表した。売上高営業利益率は13~15%(22年通期は実質ベースで5.1%)、フリーキャッシュフロー(純現金収支、FCF)は28億~31億ポンド(同約5億ポンド)と設定。営業利益率、FCFとも市場予想を上回る「強い目標」(ジェフリーズのアナリスト)だが、アーギンビルギッチ最高経営責任者(CEO)は「説得力のある、達成可能な目標」だと説明した。
カギを握るのは、売上高の4割強を稼ぐ民間航空部門だ。提携も視野に設備投資費用の抑制や効率化を進め、同部門の営業利益率を22年通期の2.5%から27年には15~17%へ改善を目指す。
価値を生むと見込む分野へ経営資源を集中投下する方針で、状況に応じて資産売却も進めるという。売却対象の一例には電動推進システムを開発するエレクトリカル部門を挙げた。10月には世界で2000~2500人を削減する計画も示していた。
同社は新型コロナウイルス禍での需要減で業績が悪化。立て直しに向け、アーギンビルギッチCEOは「ロールス・ロイスの歴史において重要な局面を迎えている」との認識を示す。ジェフリーズのアナリストチームは「可能性を確認した」と言及。目標株価は310ペンス(28日終値は258.3ペンス)と、一段の上昇余地があるとの見方を示していた。