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近づく新NISA、楽天証券の久保田氏に戦略を聞く

記事公開日 2023/12/5 17:00 最終更新日 2023/12/6 09:21 国内株式市場サマリー 日本株 新NISA NQNセレクト

【日経QUICKニュース(NQN) 池田幹】2024年1月の新たな少額投資非課税制度(NISA)開始まで1カ月を切った。現行制度と比べて投資枠が大幅に増えるほか、非課税期間が恒久化され、個人の新規資金の流入が期待される。新NISAに向けた楽天証券のマーケティング戦略を、久保田誉上級執行役員に聞いた。



 ――新NISAへの期待は。

 「政府が『資産運用立国』の実現に向け、NISA口座数を1700万から3400万に倍増する目標を掲げたアナウンスメント効果は大きい。将来不安から、若年層を中心に投資を始めようという機運が高まっている。当社では投資信託の積み立てを始めたり、積立額を増やしたりしたい場合に事前に受け付ける積み立て予約サービスを11月13日から始めた。複利効果による恩恵を受けるため、投資枠をはやく埋めようと考える投資家は多い」

 ――具体的なマーケティング戦略を教えてください。

 「投信に加えて1株(単元未満株)から取引可能な『かぶミニ』や1株から積立購入ができる『かぶツミ』など、これまで手軽に手掛けられる小口商品を拡充して若い顧客の獲得につながった。これから新たに投資を始める人にも、小口商品での積み立てを長期で続けてもらえるようなサービスを提案していく」

 「NISA口座シェアが業界首位であることを引き続きアピールしていきたい。当社のつみたてNISAの口座シェアは3月末時点で55%を占めており、競合他社と比べて(長期にわたって顧客との関係を築きあげられる)積み立てのシェアが大きいことが特徴だ。積み立てを含む自社の全NISA口座数は6月末時点で約450万口座で、早期に1000万口座を目指している」

 ――他社との差別化戦略は。

 「(利用者をグループ内のサービスに囲い込む)楽天経済圏という、日常生活に密接したサービスに最も近い証券会社であることが強みだ。買い物などをしてためた楽天ポイントは1ポイント1円として株式や投信の購入代金に充てられる。投資に慎重になる理由に損失への懸念があるが、ポイントを使った投資なら心理的な負担を和らげることができる。買い物の延長線上に投資を位置づけられる環境を提供する」

 「ポイント施策にも優位性がある。『楽天カード』の決済で積み立てた場合、ポイントが付くのは競合と同様に月額5万円までだが、電子マネーの『楽天キャッシュ』も使えば合わせて月額10万円までポイント付与の対象になる。楽天銀行と証券口座を連携する『マネーブリッジ』を使うと、金融商品に投資する際などに銀行口座と証券口座の間で資金移動を自動で行ってくれる」

 ――楽天証券では積み立てた投信保有残高が一定額に達した最初の月にポイントが付きますが、他社のように毎月の平均保有残高にもポイント付与を求める声があります。

 「ポイントの原資は投信を販売する証券各社への販売報酬だ。他社が運用している投信などについても、販売報酬をすべて投資家にポイントで還元してしまうのは、ビジネスモデルとして持続可能なのか疑問を持っている。業界全体で考えなければならない問題だ」

 「当社は『楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド』と『楽天・S&P500インデックス・ファンド』については、平均保有残高にポイントを付けている。楽天投信投資顧問が運用する投信ならポイントを還元しても、グループ全体では運用報酬が残る。今後もこうした投信の銘柄を増やす」

 ――投資家に資産運用にあたって注意してほしい点は。

 「ポートフォリオ(資産配分)を見直し、リスクを分散するよう呼びかけている。長期投資で時間を分散できても、アセットクラス(投資対象資産)や投資先地域が集中している場合がある。積立額が増えればリターンだけでなくリスクも大きくなるため、リスクコントロールがより重要になる」

 「当社では積立予約サービスとあわせて『かんたん積立診断』を始めた。設定した金融商品の積み立てに対し『稼ぐ力』『耐える力』『安定力』の3項目でスコア評価し、チャートでリスクを可視化するものだ。今後は具体的なリターンなど数字によるシミュレーション結果を示すほか、NISA口座以外の資産も含めてどれくらいの運用リスクがあるのか、きちんと把握できる仕組みを整えていきたい」

 久保田誉(くぼた・たかし)氏の略歴 早稲田大学商学部卒業。INSEAD Executive MBA(経営学修士)。日本長期信用銀行(現SBI新生銀行)入行後、フィンテック・スタートアップの立ち上げを経て、フィデリティ証券に入社。フィデリティでは執行役員個人金融サービス本部長を務めた。22年7月に楽天証券に入社。投資信託やラップビジネスに加え、新NISAに関するプロジェクトも統括。

著者名

日経QUICKニュース(NQN) 池田 幹


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