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円安が止まらない原因とは? 円安が進むとどうなる? わかりやすく解説します!(資産形成イロハのイ)

資産形成イロハのイ _円安が止まらない原因とは?

【QUICK Money World 辰巳 華世】円安が止まらない--- ここ数年の円安の流れは目を見張るものがあります。2021年1月の外国為替相場で、1ドル=100円台で推移していたドル円相場は、2024年に入り一時、1ドル=160円を付けるなど歴史的な円安水準を付けました。約3年の間に約60円の円安になっています。今回は、円安とは?という外国為替の基本的な説明から、最近の円安が止まらない原因について詳しく解説するとともに、円安が私たちの暮らしに与える影響や、円安対策についても紹介します。

<目次>
 ①円安・ドル高と円高・ドル安とは?
 ②為替相場が変動する理由
 ③なぜ今円安が止まらないのか
 ④円安になると私たちの生活にどう影響するのか
 ⑤円安に備えて個人ができる対策とは

①円安・ドル高と円高・ドル安とは

「円安・ドル高」、「円高・ドル安」は外国為替で使われる言葉です。ドルに対して日本の通貨である「円」が「高い」か「安い」か、円に対してドルが「高い」か「安い」かを表しています。

外国為替とは異なる通貨を交換することです。為替相場では、交換する2つの通貨はシーソーのような関係になります。円高であれば、相手の通貨であるドルはドル安になり、円安であればドル高になります。「円高・ドル高」と2つの通貨が両方高くなったり、両方安くなったりはしません。

円ドルシーソー

例えば1ドル100円が1ドル160円になった時、「円安・ドル高」と言います。1ドル100円が160円と数字が大きくなったのに、「円安」と表現するので、一般的な日本語の感覚からすると少し違和感を感じるかもしれません。

「円安・ドル高」の仕組みは簡単です。100円で1ドルもらえたのが、160円払わないと1ドルもらえない状況です。円から見ると、1ドルの価値が高くなっています。為替の世界では、交換する2つの通貨はシーソーのような関係なので、1ドルの価値が高いということは、円の価値は低くなります。「円安・ドル高」になるわけです。円安とは外国通貨に対して円の価値が低くなっている状態です。

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②為替相場が変動する理由

為替相場は需要と供給のバランスで動いています。世界中の市場が繋がる形で24時間取引が行われています。24時間取引のうち、一般的にロンドン市場とニューヨーク市場の時間が重なる日本時間22時〜24時の値動きが大きくなる傾向があります。

市場参加者は多種多様で、それぞれの目的をもって取引しています。グローバルでビジネスをしている企業などは輸出・輸入など実需目的、銀行や証券会社などの金融機関、年金基金やヘッジファンドなどは投資や投機筋など市場参加者や目的も多岐に渡ります。

為替相場が動く理由は複数あります。

・輸出や輸入など貿易の増加
 ・物価や金利の変動
 ・国の経済や財政状況
 ・投機的な動き
 ・政府や中央銀行による市場介入など

為替相場は様々な理由で動きます。その時々の状況で変動要因も異なりますし、必ずしも一つだけが理由とも限りません。

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③なぜ、今「円安」が止まらないのか

21年1月に1ドル=100円台で推移していったドル円相場が、24年に一時、1ドル=160円を付けるなど、今「円安」が止まらない理由について見てみましょう。

ドル円チャート

先ほど説明した様に、為替相場が動く理由は一つではありません、今回の円安の流れにもいくつかの理由が言われています。

・日米金利差の拡大
 ・投機的な円売り
 ・新しい少額投資非課税制度(NISA)の拡大による対外国株投資の増加

約3年で約60円の円安となった一番大きな理由と言われているのが、日米金利差の拡大です

新型コロナウイルス感染拡大が一つのきっかけです。世界ではコロナ禍以降、インフレが加速しました。例えば米国では急激な物価上昇が発生し、米国の中央銀行である米連邦準備理事会(FRB)はインフレを抑えるために利上げをしてきました。急速な円安が進んだ背景には、当時、米国は利上げが続く一方で、日本はマイナス金利政策と日米の金利差が広がったことが関係しています。

日銀は24年3月にマイナス金利解除に踏み切りました。マイナス金利解除によって、為替相場では円高傾向になることが期待されましたが、実際には円安が進みました。日銀は利上げしましたが、政策金利は依然低い水準であることに加え、日銀の植田和男総裁が会見で当面は緩和政策を続けると強調したことなどが円安に影響しています。さらなる利上げにはある程度時間がかかるとの見方が市場で広がったことや、米国の利下げ観測が後退したこともあり、日米金利差の縮小がそれほど進まないとの予想が広がりました。

 

・投機的な売り

日銀がマイナス金利を解除したものの、しばらく日米金利差がそれほど縮小しないのではないかとの見方が広がり、投機的な円売りが拡大した可能性があります。

・新しい少額投資非課税制度(NISA)の拡大による対外国株投資の増加

24年から新NISAが始まったことも円安に影響があるとの見方があります。実際、投資信託など日本の個人投資家による海外株式・投資ファンドの買い越し額は1月に1兆2000億円と過去最高になりました。スタート月による増加の部分もありますが、NISAでは積み立て投資で定期的に購入する流れもあり、多くの投資資金が米国投信などを購入する為に、円を売りドルを買う流れになっている可能性はあります。

④円安になると私たちの生活にどう影響するのか

円安は、家計にとっては厳しい環境になりやすいです。日本は石油などエネルギーを輸入に頼っているので、円安により電気やガス代などが上昇します。エネルギー価格が上昇し輸送費が増加したり、輸入コストが上がるので物価が上昇します。全般的にインフレとなり、賃金の上昇が伴わない場合はコスト高で苦しい生活になります。

一方、円高はその逆になります。輸入コストが下がるので物の値段が安くなる傾向があります。

 

⑤円安に備えて個人ができる対策とは

円安に備えて個人ができる対策の一つは、「外貨建て資産を保有する」ことです。外貨建て資産は為替の変動によっては円資産より有利になる可能性があります。例えば1ドル=100円で100万円分の外貨預金をした場合、100万円÷100円=10,000ドルの外貨預金になります。金利などは除いて考えた場合、1ドル160円の円安になれば、10,000米ドル×160円で160万円となります。

もう一つできる対策として、「国内製品を利用する」ことです。輸入商品は円安になると輸入コストが増加するのでその分価格が高くなります。国内製品であれば、輸入にかかるコスト増はないのでその分の影響はなさそうです。ただ、円安によるエネルギーコスト上昇などで輸送費や光熱費が増加する影響はあります。

■まとめ

外国為替相場は、さまざまな理由で変動します。円安が止まらない理由の一つは、日米金利差があります。円安はエネルギーなど多くのものを輸入に頼る日本の場合、コスト増に繋がり家計を圧迫します。個人ができる対策を取りながら円安に備えましょう。

 

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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