インド株に投資するファンドへの資金流入額が8月に急減したことがわかった(図表1)。国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF=を除く)の資金動向を分類別に集計したところ、インド株投信は設定額から解約額を差し引いて449億円の資金流入超にとどまった(QUICK独自の分類、推計値)。6月の約2400億円、7月の約1800億円と比べ、資金流入ペースの急速な鈍化が鮮明になった。
インド株投信の資金流出入額の推移を月次でさかのぼってみると、2022年の後半から徐々に資金流入が増加していた。インドの人口増加や持続的な経済発展などを受け、投資先としての注目度が高まってきたことが背景にある。今年1月に始まった新NISA(少額投資非課税制度)でも人気の投資先のひとつになっている。
7月の流入額上位10ファンドをピックアップし、8月と資金流入額を比較してみると、すべて8月が7月を大きく下回った(図表2)。7月に537億円の資金が流入していた「HSBC インド・インフラ株式オープン」は、8月の流入額が91億円まで減少した。「イーストスプリング・インド消費関連ファンド」も131億円から108億円に減少したが、インド株ファンドでは唯一100億円超の流入額を維持した。
インドの代表的な株価指数の「ニフティ50」や「SENSEX」は8月の上旬に一時的に大きく下落したが、後半には持ち直してそれぞれ史上最高値圏で推移している。ただ、7月上旬以降にインドの通貨ルピーが対円で大きく下落しており、円換算で評価する日本のインド株投信は足元でさえない値動きとなっている。
現時点でインド株投信の8月の設定・解約の具体的な金額は不明だ。資金流入減速の主因が解約の増加だったかどうかも、推測の域を出ない。ただ、これまで好成績が続いていただけに、利益が出ているうちに保有するインド株投信の売却に動いた投資家が一部にいた可能性はありそうだ。