アメリカ大統領選挙の投開票が11月5日(火)に迫ってきた。民主党のカマラ・ハリス副大統領、共和党のドナルド・トランプ前大統領の一騎打ちはどちらが勝利するのか。米国内のみならず世界の政治・経済・金融政策への影響が見込まれるとあって、金融市場での注目度も高い。この記事では、QUICK Money Worldの関連記事を中心に大統領選のスケジュールや市場の声をまとめる。
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大統領選の結果は?
(11月6日19:50更新)日本時間6日夜、共和党のドナルド・トランプ前大統領が当選確実になったと伝わった。米主要メディアが相次いで報じた。
アメリカ大統領選挙はいつ? 結果はいつ分かる?
アメリカ大統領選の投開票は「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と法律で決まっており、2024年の投開票は11月5日(火)となっている。日本時間では11月6日(水)に投開票の状況が伝わりそうだ。もっとも激戦州などで両候補の得票が接戦となった場合は、どちらが勝利したか判明するまで数日を要する可能性がある。
アメリカ大統領選挙の結果はどうなる?
支持率は、10月31日時点では、トランプ氏が48.4%でハリス氏をわずかに上回っている。
(出典:米リアル・クリア・ポリティクス(RCP)の世論調査)
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が実施した世論調査でもトランプ氏の支持率がハリス氏を上回った。ただその差は小さく、最終盤まで結果は見通せない状況が続きそうだ。
世論調査では全国の支持率で共和党候補のトランプ前大統領がわずかに優勢となっているが、ミシガンやウィスコンシンなど激戦州の一部では民主党のハリス副大統領が盛り返している。
アメリカの賭けサイトではトランプ氏勝利の賭けが盛り上がりつつあると指摘されている。
ブロックチェーン(分散型台帳)技術を利用した米賭けサイトのポリマーケット(Polymarket)では、日本時間17日午前時点でトランプ氏勝利の確率が58.5%だ。10月初めに民主党候補のハリス副大統領と五分五分だった確率が切り上がっている。
市場関係者の予想は?
10月初旬に実施された外為市場関係者の調査では、民主党候補のハリス副大統領が勝利するとの予想が多かった。
外国為替市場で米大統領選で民主党候補のハリス副大統領が勝利するとの見方が強まっている。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した10月の月次調査<外為>で、次期大統領をハリス氏と予想した回答が77%にのぼった。共和党の前大統領トランプ氏は23%だった。
金融市場への影響は?大統領選後の株価・金利・為替はどうなる?
2000年以降に行われた大統領選の前後各100日で「ダウ工業株30種平均」、「米10年債利回り」、「ドル円相場」、「日経平均株価」がどう動いたかをみると、以下のようになっている。
■ダウ工業株30種平均
2000年以降の6回の大統領選(勝利は民主党、共和党それぞれ3回)のうち、選挙当日から100日後に上昇したのは4回(民主、共和それぞれ2回)。上昇率が最も大きかったのは、新型コロナショックからの回復期にあたる前回2020年のバイデン氏(民主)で、約20%だった。
■米10年債利回り
6回のうち、利回りが上昇したのは4回(民主、共和それぞれ2回。ただし、そのうち2012年のオバマ氏=民主=はほぼ横ばい)あり、最も大きく上昇したのは、ほぼ2倍になったバイデン氏だった。一方、2000年のブッシュ氏(共和)、2008年のオバマ氏は利回りが低下した。
■ドル円相場
ドル高・円安になったのは6回のうち4回(民主、共和それぞれ2回)。上昇率が最も大きかったのは2012年のオバマ氏で、約18%だった。一方、ドル安・円高になったのは2004年のブッシュ氏、2008年のオバマ氏だが、いずれも横ばいに近い。大きく円高に振れるケースはなかった。
■日経平均株価
日本株が値上がりしたのは6回のうち4回(民主、共和それぞれ2回)だった。そのうち上昇率トップは2012年のオバマ氏(約47%)。2020年のバイデン氏(約25%)がこれに続き、民主党の大統領が上位を占めた。半面、ワースト1位は2000年のブッシュ氏(約13%の下落)だった。
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関連銘柄は?
ハリス氏が勝利した場合は、米国では脱炭素に関連する電気自動車(EV)や太陽光発電といった環境関連企業、インフラ整備関連企業、新しい産業政策に伴う最先端半導体などのハイテク企業などへの恩恵が大きくなるとみられ、日本でも同じような業種・セクターが物色される可能性が高そうだ。
ハリス氏は住宅支援策に言及しており、米国事業の比率が高い住宅メーカー株はその恩恵を受ける可能性があります。関連銘柄としては、米国事業が利益柱となっている住友林業(1911)、2024年に入り米住宅大手を買収しシェア拡大を狙う積水ハウス(1928)などが挙げられます。また、住宅用の塩化ビニル樹脂などに強みを持つ信越化学工業(4063)なども関連銘柄の1つです。
生活コストの削減方針を示したことで、米国事業を積極展開する食品メーカーにも追い風になる可能性があります。北米しょうゆ事業が拡大するキッコーマン(2801)、北米の即席めんシェア上位の東洋水産(2875)、日清食品グループホールディングス(2897)などが主な関連銘柄です。
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トランプ氏が勝利した場合は、防衛関連や暗号資産(仮想通貨)関連の企業も有望な銘柄として注目されている。
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両候補が優位に立ったとみられるいくつかのイベントや両氏の主張から、「関連銘柄」にはいくつかの傾向がある。トランプ氏は不法移民に厳しい姿勢を示す一方、国内の規制緩和には前向きだ。様々な規制緩和を実現すれば「(地方の)中堅銀行に恩恵が及ぶ可能性がある」(エバコアISI)。金融規制の緩和だけでなく、規制の撤廃が全国的な中小企業の活動を支え、金融機関の収益に貢献するからだ。
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