【日経QUICKニュース(NQN)】3月11日の東京株式市場で、鉄鋼株が軒並み安となった。JFEホールディングス(プライム、5411)は午後に下げ幅を広げ、前日比74円50銭(3.77%)安の1897円まで下落した。武藤容治経済産業相は米東部時間10日(日本時間11日未明)、ワシントンでラトニック米商務長官らと会談した。12日に全面適用が迫る鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税について「日本除外」との言質は得られなかったと伝わっており、業績への影響を懸念した売りが出ているようだ。日本製鉄(5401)や神戸製鋼所(5406)も安かった。
JFEは2024年に公表した「事業等のリスク」で、米国向けの鋼材の輸出量は多くはないが、各種輸入規制が行われて締め出された鋼材がJFEグループの主要輸出エリアに還流した場合は「業績に影響を及ぼす可能性がある」と明記している。
立花証券の鈴木博行アナリストは米中貿易摩擦により中国の景気回復が遅れると余った鋼材が東南アジアに流れ込んで市況が軟化し「アジアに鋼材を輸出する日本企業の業績への影響は無視できない」と指摘。トランプ米大統領の円安けん制発言に触れ「円高が進むとドルベースの鋼材販売価格が下がり、良い話ではない」と話す。JFEを巡っては、SBI証券が10日付で投資判断を3段階で最上位の「買い」から真ん中の「中立」に引き下げたのも売りを促したようだ。