【QUICK Money World】三菱商事(8058)は4月3日13 時に、2025年度の業績見直しや自己株式取得など株主への利益還元に関して発表した。
■大規模な自社株買いのインパクト
資本効率を向上させる施策として、金額で1兆円、株数で6億8900万株を上限に自己株式を取得する。取得上限は、発行済み株式総数(自己株式を除く)の約17%に相当し、取得した自己株式はすべて消却する方針としたため、1株あたりの価値向上につながると材料視された。相対的に取得上限の規模が大きくインパクトがあった。
■今期の配当予想開示で目線がシフト
三菱商事の前場終値は前日比2.61%安の2546.5円だったが、株主還元などが後場の取引時間中に発表されたとあって、終値は1.72%高の2660円と上昇に転じた。大規模な自社株買いが株主還元に積極的と受け止められたとみられるが、今期の業績見通しで配当予想を示したことは「前期実績」から「今期予想」へと投資家の目線のシフトにもつながった。
3月期決算企業の場合、決算発表までは株式を売買するための手掛かりに乏しい「端境期」の側面が強い。決算発表時に今期の業績見通しが示されるまでは、通例、前期の業績予想や配当予想をもとにした「前期実績予想ベース」で株価収益率(PER)や予想年間配当利回りが試算される。QUICKで三菱商事の現在値画面をみても、予想配当利回りは3.75%と表示されているが、25年3月期の1株あたり予想年間配当金100円と、3日終値2660円から試算された「前期実績予想ベース」の数字だ。
■今期ベースなら配当利回りは4%台
三菱商事は25年度の株主還元で、自己株取得と併せ、1株あたり年間配当金を前期比10円増額の110円とする見通しを示した。今期予想ベースで26年3月期の1株あたり予想年間配当金110円と、3日終値2660円から「今期予想ベース」の配当利回りを試算すると4.13%となる。配当利回り4%台は大型株としては投資妙味とも受け止められよう。
適時開示資料のほか、同社ウェブサイトに掲載された「経営戦略2027」のニュースリリースでは、経営戦略の株主還元の項目で、累進配当を維持するとともに、機動的な自己株式取得を行う基本方針も維持する旨が明記された。このため、市場では来期以降の配当金増額が期待されたとも考えられる。決算発表に先行する形で、取引時間中の適時開示にはたしかにサプライズがあった。ただ、3日の三菱商事株の上昇には、意欲的な経営戦略の説明や数字の提示がなされたことも見逃せない。