米国市場でハイイールド債ETFの空売りが増えている。平均売買高に対しても空売りが多い傾向にあるといい、米国みずほ証券の石原哲夫USマクロストラテジストは25日付のリポートで「金利リスクも含めたトータルリターンのヘッジとして空売りが行われている。これまでは、金利リスクをヘッジする参加者はほとんどなかったもよう」と指摘している。
これまで、iシェアーズ・iBOXX $ ハイイールド社債ETFなどのハイイールド債ETFの空売りが増えている背景には、①米国債利回りの上昇に伴いハイイールド債ETFへの需要が薄れる、②恐怖指数のVIXの急騰など市場が急変する際、流動性が低いハイイールド債の価格が急落する恐れがある――ことなどが原因とみられていた。
石原氏は「主要ハイイールドETFの空売りはクレジットサイクルの転換の予兆ではなく、主に金利リスクを含めたヘッジニーズを反映していると思われる」と指摘。「従来、ヘッジといえば信用リスクを取引するクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)や株式指数オプションが多用されていたが、いずれも金利リスクはヘッジできない。今やハイイールド市場参加者も金利リスクに敏感になっている」という。(片平正ニ)
<iシェアーズ・iBOXX $ ハイイールド社債ETFの空売り残高>
※QUICK FactSet Workstationより作成
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