9日に公表された8月第1週(7月30日~8月3日)の投資部門別売買動向は、30~31日に開かれた日銀の金融政策決定会合を織り込んだ需給の結果として読める。
海外投資家は長期国債先物を2兆2830億円売り越した。
この週は31日の決定会合で「政策修正」が決まり、長期金利が急上昇した時期にあたる。海外投資家は7月の最終週も1兆3850億円売り越しており、ポジションがショートに傾いている可能性がある。
市場からは「決定会合に向けて政策修正への思惑が高まり、実際に決まった週だ。海外勢が売るのは当然の動きだろう。ロングポジションを閉じたものもあれば、新たにショートしたものもあろう。足元、金利上昇は一服しており、ショートの買い戻しが入る可能性もある。ただ、現物債は『物がない』状態にあり、金利低下局面では日銀オペの減額が意識されよう。積極的には買えず、結果的に相場は膠着してしまうかもしれない」(ストラテジスト)との声が聞かれた。
一方、株式では海外勢は現物と先物の合計で3560億円の売り越しだった。売り越しは4週ぶり。内訳を見ると現物株は672億円の売り越しにとどまるが、先物の売り越しは2887億円にのぼった。先物の売り越しの中身は、日経平均先物が993億円に対しTOPIX先物が1895億円だった。TOPIX先物は日経先物の倍近い売り越しになっていたことになる。
決定会合では事前に金融政策の調整に踏み切るといった観測報道が先行。その中で上場投資信託(ETF)の購入についてはその比率を変更する可能性が伝わっていた。TOPIX型のウエートを高めて日経平均型を低めることが意識された。
だが、結果的に外国人はTOPIX先物を大きく売り越した。噂で買って事実で利食いを入れた典型的な短期トレードだった。(池谷信久、岩切清司 )
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