日経平均株価が2万4000円台で値固めを始めた。目立った買い材料が見つからない中、需給が1つのカギを握っているようだ。将来的な売りにつながる仮需の動きを見ると、潜在的な売り圧力は小さいことが読み取れる。
グラフ①は、裁定取引にともなう現物買いのポジション(金額ベース、現物売りの金額を差し引いた値)と信用買いの金額を東証1部の時価総額で割った比率の推移。膨大な仮需の積み上がりが相場をけん引していたアベノミクス初期の2012~13年と異なり、いまは実需の買いが持続的な株高をもたらしている、とも読み取れる。
米国ETF市場をみても、日本株への資金流入に期待が持てる。QUICK FactSet Workstationによると、新興国株が年初から累計で104億ドルの流入超となる一方、日本株は40億ドルの流出超だった(グラフ②)。ただ、過去を振り返ると、日本株の上昇局面では日本株ETFの大幅な流入超を記録している。「米国から資金移動を検討しているグローバル株式投資家は新興国でなく日本への投資を拡大すべき」(米モルガン・スタンレー、1日付リポート)との指摘もある。ETFを通じた日本株買いの動きが活発化してくれば、株式相場の支えになる。
海外勢による株価指数先物への買いも、なお余力を残している。米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する米先物市場の建玉動向によると、投機筋は9月25日時点で日経平均先物を8707枚売り越している(グラフ③)。約6年ぶりの売り越し水準だった前週(8936枚)から縮小したとはいえ、売り越し水準はなお高い。東海東京証券は9月28日付のリポートで「少なくとも売り越し幅が縮小する過程で指数の上昇が続くと予想するのが妥当」とみる。
「押目待ちの押目なし」の相場格言のごとく、調整らしい調整を挟まずに上昇を続ける株式相場。積極的な売り手がいない中にあっては、順張りが正解なのかもしれない。(松下隆介)
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