4日の米国市場でダウ工業株30種平均は746ドル高と急反発し、年明けの嫌なムードがひとまず和らぐ展開となった。背景にあるのが強い雇用統計とハト派的なパウエル議長の発言だ。いわゆるパウエル・プットを受けて、週明け7日午前の日経平均株価も2万円の大台を回復した。
そのパウエル発言について、JPモルガンは4日のリポートで「中国についての懸念が高まった2016年初頭にFedが取った転向を好意的に説明した。パウエル氏のメッセージは紛れもなく、我々の考えだ」と指摘。JPモルガンは今年、7月と12月に2回の利上げが行われると想定しており、「2016年は労働市場の引き締めが続いたため、米経済は最終的にトレンドを上回る程度に成長した」経緯を踏まえた。
ゴールドマン・サックスは4日付のリポートで3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率を従来の20%から10%に引き下げた。バランスシート縮小に関するパウエル氏の発言について「昨年12月FOMCでの『オートパイロット』発言からの修正を示しており、市場を落ち着かせることを意図したもの」とし、株式市場に配慮したことを評価していた。
トランプ大統領による解任リスクが取り沙汰されるパウエル議長だけに、株式市場が大荒れとなってトランプ氏の立場が厳しくなるような状況が続くようだと、市場が催促する場面が度々訪れるかも知れない。
米株がパウエル・プットで堅調な一方、国内要因としては日銀のETF買いが下支え要因として意識される。日銀は4日、本石砲(日銀のETF買い)を発射し、704億円のETF買いに踏み切った。2018年は年6兆円ペースを5000億円超を上回る6兆5040億円のETF買いを行っていたが、買入額を703億円から704億円に若干増やしつつ、仕事始めの4日に積極的な買い出動に踏み切ったことは株式市場に配慮する姿勢がうかがえる。(片平正ニ)
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