QUICK編集チーム
日米欧の中央銀行の判断に世界の市場関係者の注目が集まった、この2週間。欧州中央銀行(ECB)が緩和にカジを切り、米連邦準備理事会(FRB)は想定通り0.25%利下げ、トリを務めた日銀はひとまず「口先緩和」のみでカードを温存する結果となった。揺れ動く米中貿易摩擦、くすぶる景気減速懸念の中、今回の金融政策はマーケットの方向性にどのような影響を与えそうなのか。QUICKは19日の日銀会合直後からユーザーを対象に緊急アンケートを実施し、当面(およそ半年)の相場見通しを聞いた。=調査は19日昼過ぎ~20日の午後1時30分、168人が回答
円の対ドルの高値は「100円台」の予想が7割超と断トツ。ECB、FRBが緩和に動き、日銀だけが現状維持となれば急激な円高が進むのではないかとの見方もあった。日銀会合をうけて円は7営業日ぶりに反発はしたが、振れ幅はあまり大きくない。日銀が追加緩和の「のりしろ」も「維持」したことで、100円を割り込むような相場急変はどこかで歯止めがかけられるだろう、と多くの市場関係者が受け止めた様子が読み取れる。
円安水準の見通しでは、相場の実勢に近い「105円以上~110円未満」が約4割、「110円以上~115円未満」が約5割だった。
日経平均株価の見通しは、高値が2万3000円台、安値が2万円台で、それぞれ全体の4割程度だった。ドル円相場が比較的安定して推移するという見立ての下、株式相場もおおむね今年のこれまでの実勢である2万~2万3000円のボックス圏での動きが続くと見ているようだ。
そのほかの項目の高値と安値で最も予想が多かったレンジは下記の通り。
- 米ダウ工業株30種平均の高値 2万8000ドル台(35%)
- 米ダウ工業株30種平均の安値 2万5000ドル台(36%)
- 日本の10年国債利回りの最高 マイナス0.2%~0%未満(43%)
- 日本の10年国債利回りの最低 マイナス0.4%~マイナス0.2%未満(33%)
- 米国の10年国債利回りの最高 1.5%~2.0%未満(44%)
- 米国の10年国債利回りの最低 1.0%~1.5%未満(49%)
また、次回10月の会合で、どの中銀が緩和に動くかとの問いでは見方が分かれた。日米欧がそろって見送り(現状維持)との予想が最も多かった。来月いっぱいで任期が満了するECBのドラギ総裁は最後にどんなマジックを披露するのか、「意気地なし!センスなし!ビジョンなし!」と罵られたFRBのパウエル議長(更迭もなし!)は強まる一方の圧力をどうかわすのか。そして、今回なんとか市場の期待をつなぎとめた日銀の黒田総裁の「我慢大会」はいつまでもつのか。日米欧の中銀の正念場が続く。