28日の米国市場で画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディアが4営業日ぶりに反落した。前週末比13.82%安の138.01ドルで終えた。下落率は2018年11月16日(18.75%)以来、2カ月ぶりの大きさだった。
この日に2018年11月~2019年1月期(4Q)の業績見通しを公表し、売上高が従来予想の27億ドル±2%から22億ドル±2%になったようだと下方修正した。市場予想(25億4740万ドル)を大幅に下回るネガティブ・サプライズとなり、2月14日の決算発表を前に業績悪化を警戒する動きが強まった。ゲームやデータセンター向けの需要が弱かったといい、ジェン・スン・ファン最高経営責任者(CEO)は業績見通しの資料で「4Qは尋常では無い、大荒れの失望的な四半期だった」との見解を示した。
同社の下方修正はアナリストにも衝撃を与えた。レイモンド・ジェームズは同日付で「アウチ(あいたたた)」と題したリポートを公表。投資判断は「アウトパフォーム」を維持する一方で、目標株価は250ドルから165ドルに引き下げた。
中国を中心としたマクロ経済の弱さとクラウド(データセンター)分野の減速、新たなゲーム向けGPUの遅れなどを挙げた。「ゲーム用半導体とクラウド向けの需要の弱さは少なくとも19年2~4月期(1Q)まで続くだろう」などとの見通しを示した。
スタイフェルも「パソコンゲーム需要の後退とクラウドサービスの減速を踏まえれば、下方修正は驚きではない。ただ、粗利も含め、売り上げ見通し減速のマグニチュードの大きさには驚かされた」と指摘。「今回の発表に悪いものをすべて盛り込む『キッチンシンキング戦略』だろうと信じたい」としていた。
マッコーリも同様に「中国の経済状況や半導体の需要の弱さを考えれば下方修正にサプライズはない。しかし、その規模がサプライズだった」と驚きを隠さない。「今回の修正が目先の業績の底入れにつながる可能性があるものの、中国経済の先行きなどを考えると株価は当面、安値圏のもみ合いになるかもしれない」という。
今回の下方修正を受けてアナリストは業績予想の引き下げも余儀なくされた。予想利益が切り下がったことで目標株価の水準訂正が一斉に起きた。
<エヌビディアの目標株価を相次いで引き下げ>
スタイフェル 135(200)ドル
マッコーリ 150(175)
レイモンド・ジェームス 165(250)
ウェルズ・ファーゴ 170(235)
バンクオブアメリカ・メリルリンチ 193(250)
JPモルガン 200(245)
エバコアISI 200(275)
※カッコ内は修正前の目標株価
この日はアドバンスト・マイクロ・デバイスが7.97%安となるなどエヌビディアの業績修正を受けて半導体関連にも幅広く売りが出た。フィラデルフィア半導体指数は2.08%安で終えた。(片平正二、松下隆介)
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