26日、米議会上院で半期に一度の議会証言に立った米連邦準備理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長。目新しい材料はなく、市場の反応も限定的だった。パンセオン・マクロエコノミクスは27日付のリポートで「毎回の米連邦公開市場委員会(FOMC)で記者会見が行われる時代では、FRB議長の議会証言は過去ほど重要なイベントではない」と指摘している。
FRBは従来は3・6・9・12月と四半期ごとに行っていたFOMC後のFRB議長による記者会見を、2019年から毎回行ってコミュニケーション戦略の改善に努めていた。
リポートでは「アラン・グリーンスパン氏がFRB議長の時代には政策に関する公の発言がはるかに少なかったため、議会証言は彼の思考を理解するための鍵となっていた。しかし現在、FRBは多かれ少なかれリアルタムで情報を流すことを望んでいるように思われる」とも指摘。その上で「これが(コミュニケーション戦略の)改善であるかどうかは分からないが、マーケットは政策当局者の発言や経済指標の変化に反応が出ることを期待しているが、いずれは逆転、または修正されるだろう」とも見込んでいた。
今回の議会証言を前に、ナットウエストは25日付のリポートで大局的な観点でコミュニケーション戦略の修正が今後示されるかに着目していた。一例としては、四半期経済見通し(SEP)の中でドットプロットを削除するといった改善案を挙げていた。
FRBが改めて利上げに慎重な姿勢を示し、ハト派化が再確認されたことで、米長期金利は小幅に低下した。CMEのFedウオッチによると、2019年中の政策金利変更の確率は、現状維持が78%(前日83%)、利上げ2%(同4%)、利下げ20%(同13%)となっている。(片平正二、池谷信久)
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