11日の米国株式市場で米鉄鋼大手のUSスチールが6日続落した。日中取引の終値は3%安の16.69ドルだった。一時16.57ドルまで下げ、52週安値を更新した。バンクオブアメリカ・メリルリンチは同日のリポートで投資判断を「バイ」から「アンダーパフォーム」、目標株価を31ドルから18ドルにそれぞれ引き下げたもようだ。「スチールマゲドン」と呼ぶ、2021年ごろに見込まれる市況の大幅な悪化が業績の下押し要因になると分析したようだ。
「スチールマゲドン」は言うまでもなく、スチール(鉄鋼)とアルマゲドン(最終戦争)を組み合わせた造語。米国鉄鋼市場の供給過剰の期間と業界への影響と定義されるという。
バンカメ・メリルによれば、①市況悪化を受けた設備のアイドリング状態からのリスタート、②供給能力の追加、③新規の生産能力拡大という、3つの波を通じて供給が現在と比べ20%以上増えるという。現状は①の段階で、②は2020年から21年にかけて到来すると分析している。2022年にはニューコアやスチール・ダイナミクスなどによる新規のミニミル(規模が小さい電炉)稼働が見込まれ、③の波が訪れるという。米国のみならず、世界の業界に波及する可能性もある。(松下隆介)
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