米決算シーズンが本格化する中、金融情報会社ファクトセットの18日付のリポートによれば、この日までにS&P500採用銘柄の15%の企業が2019年1~3月期(1Q)決算を発表したという。このうち1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回ったのは78%の企業で、過去5年平均を上回っているとのこと。EPSは平均で市場予想を5.7%上回ったといい、比較的好調な決算が出ているようだ。
今週はS&P500採用銘柄のうち150銘柄が決算を発表する。24日(日本時間25日)に決算を発表するボーイングやキャタピラーなどダウ工業株30種平均採用の12銘柄が含まれ、米決算シーズンは最初のヤマ場を迎える。
キャタピラーの決算は中国向け需要のモメンタムを探るカギになる。前回の2018年10~12月期決算は、中国を軸としたアジア・太平洋地区の建設機械の売上高が前年同期比4%減となり、国内株式市場で同業のコマツ(6301)や日立建機(6305)などに連想売りが広がった。今回はどうか。
市場予想
1~3月期
・売上高 132億7000万ドル(3%)
・純利益 16億5000万ドル(1%減)
・EPS 2.82ドル(3%)
・S&P500種構成銘柄の純利益の伸び率 3%減
※QUICK FactSet Workstationの4月17日時点のデータを使用。()内は前年同期比。EPSは希薄化後。S&P500種構成銘柄の純利益の伸び率は18日時点。
中国向け建機の販売4%減
QUICK FactSet Workstationによると、米中貿易摩擦の影響などでキャタピラーの1~3月期の純利益は1%減と、小幅減益が見込まれる。主力の北米向け建機の売上は10%程度の増収が見込まれるものの、中国向けは約4%減と前期からの不振が続き、収益の足を引っ張ったようだ。加えて、米国による中国への追加関税で鉄鋼やアルミニウム価格が上昇し、建機の製造コストが上昇し収益を圧迫した可能性もある。
ダウ工業株30種平均は年初から18日までに15%上昇した一方、キャタピラー株の上昇率は14%と若干下回る。中国の1~3月期の実質国内総生産(GDP)が6.4%増と市場予想を上回ったことは下支え要因だが、中国の景気減速の懸念はなかなか払拭できない。今回の決算発表が弱めの内容となれば、キャタピラーだけでなく国内の建機メーカーにもまた売りが波及するかもしれない。(根岸てるみ)
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