27日から始まる大型連休中は、米連邦公開市場委員会(FOMC)、4月の米雇用統計など重要イベントが相次ぐ。その中でも、相場を大きく動かすリスク要因となりそうなのが、30日に中国国家統計局が発表する4月の製造業購買担当者景気指数(PMI、Purchasing Managers’ Index)だ。
PMIとは、生産や新規受注などについて景況感を購買担当者にアンケート調査し、指数化したもの。「生産がどのぐらいになった」といった実際の数値をまとめたものではなく「現在の景気の雰囲気」を聞くソフトデータのため、景気の先行指標とされる。とりわけ「世界の工場」である中国の製造業PMIが低下すれば、世界景気の減速懸念が広がり、市場ではリスク回避の動きが出やすい。
リスク資産の代表格であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物価格と中国製造業PMIのチャートを並べてみると、連動性が高いことがわかる。昨年末にWTI原油先物が1バレル50ドルを割り込んだ局面では、中国PMIも景気の拡大と縮小の節目となる50を下回り、2年10カ月ぶりの低水準に沈んでいた。
その後、中国製造業PMIは2月に49.2まで落ち込んだ後、3月は50.5まで持ち直した。日経平均株価の動きを見ても、3月31日発表の中国製造業PMIの後、戻りを強める展開となっている。
中国メディアの財新などがまとめた民間版の製造業PMIも3月は50台を回復し、中国の景気減速に対する過度な懸念は和らいでいる。4月の中国製造業PMIについて、市場では「50を維持できるかがポイント」(みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミスト)との声があがる。3月のPMIは春節(旧正月)の翌月だったため上昇しやすかったとの見方もあり、反動による悪化に注意する必要がありそうだ。
【日経QUICKニュース(NQN ) 矢内純一】
※日経QUICKニュース(NQN)が配信した注目記事を一部再編集しました。QUICKの情報端末ではすべてのNQN記事をリアルタイムでご覧いただけます。