QUICKコメントチーム=大野弘貴
「Buy My アベノミクス」の熱気はすっかり薄れ、海外投資家たちが「Bye アベノミクス」と手を振っている様子が目に浮かぶ。
東京証券取引所と大阪取引所が16日に発表した8月第1週(5~9日)の投資部門別の売買状況によると、海外投資家は現物と先物合算で1兆1757億円を売り越した。売り越し額は2018年10月第4週(1兆3007億円の売り越し)以来、約10カ月ぶりの大きさだった。
海外勢の日本株売買動向は、アベノミクスへの期待もあり、12年12月から15年にかけて累積での買い越し額が20兆円に達する場面も見られた。しかし、次第に「三本の矢」の威力が薄れたのに加えて世界的な景気先行き懸念もあり、海外勢は今年6月に12年12月以降の累積でわずかに売り越しに転じていた。8月第1週の売り越しにより、累積での売り越し額は1兆5171億円となった。ほぼ7年間の「貯金」は完全に吹き飛んでしまった形だ。
5~9日の週は米トランプ政権による対中制裁関税の第4弾表明や、中国の為替操作国指定などのショックが尾を引いて市場全体が動揺。日経平均株価は週間で400円超下落した。
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